自然資源が豊富な南スラウェシ州は、伝統儀式、舞踊、楽器など、文化・芸術的遺産も非常に豊かなことで知られている。そのひとつ、南スラウェシ州発祥の伝統楽器Puik Puikは、希少な吹奏楽器。円錐形の木製の楽器で、金属でできている上管の頭部のリードから息を吹き込み、音を奏でる。
Puik Puikの形状と音色は、Minangの伝統楽器SerunaiやBetawiの伝統楽器selompretと類似しているが、頭部と管の部分の彫刻に大きな違いがある。Puik Puikの頭部のPippi(リード)はヤシの葉でできている。万が一破損した場合の予備として、通常1本のPuik Puikには2枚のヤシの葉が付いている。このヤシの葉のリードを使用してきちんと音を出すには、特別な技術が求められる。素人が吹くと、奇妙な音しか出なかったり、全く音が出なかったりする。
Puik Puikは通常、他の伝統楽器と組み合わせて演奏され、Pakkarena舞踊やMaraga伎芸など、南スラウェシ州発祥の伝統芸術の伴奏として用いられている。若い演奏者が少なく、残念ながらこの伝統楽器は衰退の一途をたどっている。 Puik Puikの製作者も年々減っていることから希少価値が高まっており、数十万Rpの高値がつくこともある。