チレボンを訪れたなら、名物料理である「エンパル・ゲントン」は絶対に外せない一品である。一見すると黄色いスープのソト(インドネシアの伝統的なスープ)のようだが、実はこの料理にはジャワ、アラブ、インド、そして中国という多様な文化が見事に融合している。
とろみのある濃厚なスープはアラブやインドの食文化の影響を受けており、内臓(モツ)を使用する点は中華の食文化を反映している。そこにヌサンタラ特有のスパイスが加わることで、唯一無二の味わいが生まれるのである。
ニエザ氏が2009年に著した書籍によれば、この料理はその名の通り「ゲントン」と呼ばれる大きな素焼きの壺で調理される。鉄などが普及していなかった時代から続く伝統的な製法である。酸豆(タマリンド)の木の薪を使い、約5時間かけてじっくりと煮込まれた肉は、旨味と甘み、そしてスパイスの辛さが絶妙に絡み合う。
現在では手軽に味わえるご当地グルメとして定着しており、スラメット・リヤディ通りやハジ・アプド通りに行けば、ご飯やロントン(米をバナナの葉で包んで茹でたもの)と共に安価で絶品の一杯を堪能できる。多文化が溶け込んだ一杯のスープを通して、チレボンの深い歴史をぜひ味わってほしい。
もうひとネタ!
かつては、当時の多数派であったヒンドゥー教徒に配慮し、牛肉ではなく水牛の肉が使われていたという歴史的背景も興味深い。


















