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インドネシア財閥13派徹底解剖|Salim Group

サリムグループ(1972年創立)

salim

創始者:スドノ・サリム
中国名:林紹良
中核事業:IT関連、インフラ整備、農業・食品、天然資源、 自動車産業、金融サービス、セメント製造、小売、化学

傘下法人・出資先 ファーストパシフィック傘下の事業

  1. 電気通信事業
    PLDT(フィリピン)……ドコモなどが出資する比最大の通信事業者
  2. インフラ事業
    メトロ・パシフィック・インベストメント(フィリピン)……比向けインフラ事業の持ち株会社
  3. 食品・農業関連
    ・インドフード、サクセス、マクムール……傘下に食品製造のインドフーズCBP、プランテーション運営のインドフード・アグリ・リソーシーズ、国内最大の製粉会社・ボガサリなどを持つ
    ・FPナチュラルリソーシーズ……傘下に製糖業2社を持つ
  4. 資源
    ・フェリックス・マイニング……鉱山の開発を手掛ける
    ・フェリックス・ペトロレウム……油田やガス田の開発を手掛ける

サリムグループが直接出資する事業

  1. 金融サービス
    バンク・セントラル・アジア(BCA)……出資規模は2%以下まで減っている
  2. セメント生産
    インドセメント……独ハイデルベルグに大半の株式放出も、大手としての地位を維持
  3. 自動車関連
    インドモービル……日産、スズキ、日野と生産や販売でJV、またVW、ルノー、ボルボのディーラーも担う
  4. 小売りビジネス
    インドリテール・マクムール・インターナショナル……傘下にコンビニのインドマレット、製パンのニッポン・インドサリ・コーピンド、KFCのフランチャイズを持つファストフード・インドネシアを擁する
  5. IT関連
    サイバーインド・アディタマ……インターネット・プロバイダーを手掛ける

スハルト元大統領の「国家建設」とともに成長

サリムグループは、華人のスドノ・サリム(Sudono Salim)が一代で築き上げたコングロマリット。スドノは1916年、中国福建省福清市で出生。その後、1938年にインドネシアに移住した。第二次大戦後の独立をめぐるオランダ、イギリスとの武力闘争の際、スドノは独立派に衣類や食料などを積極的に供給。この際、後に大統領となるスハルトと面識が出来る。

1968年にスハルトが第2代大統領に就任。「開発経済」を推し進める中で、スドノは資源、インフラ整備、農業、食品、小売り、セメントといったようなさまざまな事業に携わった。さらに金融業にも手を広げ、インドネシアの大手民間金融機関のひとつ、バンク・セントラル・アジア(BCA)を設立している。一時は、従業員28万人に達する巨大金融機関となったが、1998年の「アジア通貨危機」によるルピア暴落で一時は破たんし、事業解体の寸前となった。現在はハルトノファミリーが筆頭株主となっているものの、三男のアンソニー・サリムの手で以前の活気を取り戻そうとしている。

現在は、香港上場のファーストパシフィックを持ち株会社とし、その傘下に電気通信事業、インフラ事業、食品・農業、天然資源の4事業に再編。うち、食品事業であるインドフードが生産する即席麺は、インドネシア国内市場で9割のシェアを占めているほか、日系を含む多くの外資系企業と合弁事業を行っている。また、電気通信とインフラの2事業は主にフィリピンで展開している。

一方、サリムグループが直接出資している事業もある。民間銀行BCAの他、「開発経済」の時代にグループ発展の原動力となったインドセメント、自動車の生産・販売を手掛けるインドモービルなどが代表的だ。トヨタがアストラと組んだのに対し、日産自動車はサリムと合弁を組み、インドネシアで2位の自動車メーカーの地位を築いた。

近年では小売りビジネスにも注力し、中でもコンビニのインドマレットは全国津々浦々までショップを展開、1万店近いネットワークを持つ。KFCのフランチャイズを得ている他、製パン業で敷島製パンともパートナーを組んでいる。