スマトラ・バラット州には、古くから親しまれてきた伝統の極上スイーツ「アンピアン・ダディアー」が存在する。ミナン語で「アンピアン」は寄り添う、「ダディアー」は発酵乳を意味する。
主役となる「ダディアー」は、水牛の乳を竹筒に入れ、バナナやワル・デイゴの葉で蓋をして2〜3日間自然発酵させたものだ。固まると、まるでヨーグルトのような爽やかな酸味と独特のコクが生まれる。
これに合わせる「アンピアン」は、蒸し上げた熱々のもち米を叩いて平らに潰したものである。「インドゥアック・インドゥアック」と呼ばれる村の女性たちが「ダンガウ」と呼ばれる作業小屋に集まり、米を炒る・叩いて伸ばす・選別する作業を分担し、見事な連携手仕事によって香ばしく仕上げられる。
器にアンピアンとダディアーを盛り、ヤシ砂糖シロップ「タングリ」と削り生ココナッツを添えれば完成だ。現在もタナ・ダタール県のジョロン・ラダン・ラウェを中心に生産され、パダン市やブキティンギ、パダンパンジャンへと届けられている。甘みと酸味が調和する奥深い味わいは、ミナンカバウの文化と人の温もりが詰まった逸品である。
もうひとネタ!
世界的シェフのゴードン・ラムゼイ氏も現地で探し求めた伝統の味。竹筒表面の濃厚な「カパロ・ダディアー」を添えて味わうのが、現地ならではの通な楽しみ方である。














