新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年には新しい習慣がいくつか生まれた。そのひとつに、自転車ブームがある。しかし今、そのブームが落ち着き始め、自転車の市場価格が大幅に下落している。インドネシア自転車経営者協会のエコ会長によると、平均20~30%下がっているという。
昨年、自転車の需要が急激に高まり、およそ1年分の自転車在庫が8月には底をつきた。国内の在庫不足に対応するため、2021年初め頃に自転車の輸入が開始した。しかしちょうどその頃から国内でのブームが落ち着き始め、結果的に過剰供給となり在庫が溢れた。そして市場の価格調整の末、徐々に価格が下落していった。
この影響を最も受けているのは、市場で60%のシェアをもつ折りたたみ自転車である。インドネシアでは、家族で1台目の自転車の購入を検討する際、家族みんなが使用でき、持ち運びが簡単な折りたたみ自転車が人気である。人気で種類が豊富な分、抱える在庫も多い。
また消費者の意識の変化もある。長引くコロナ禍による家計への不安から、購入の際には昨年よりも冷静に価格を検討する人が多くなった。街の自転車店では、値段の高い自転車はほとんど動かず、値段の安いものから売れていくという。
自転車メーカーや輸入業者はというと、消費者の関心や購買意欲の低下を察知し、価格を抑えるために部品のグレードダウンを行っている。フレームは同じままでパーツを調整することにより、もとは400万ルピアだったものを250万ルピアまで安くできる。このことも、自転車の市場価格の下落が続く要因のひとつである。