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在留日本人のワクチン接種実現へ 大使館一丸の努力の結果ようやく

9月半ばから北ジャカルタで、在留日本人への英アストラゼネカ社製ワクチンの接種ができるようになった。日本人という個別出身国在留者を対象とする今回のケースはインドネシアでは初めてではないだろうか。

これまで、民間企業のチャーター帰国便や、日本にある企業や団体の後ろ盾などが条件だった一時帰国の特別便、成田空港や羽田空港での帰国者向けの接種などいくつかのオプションがあった。しかし個人事業主や第三国企業の従業員、さらに経済的、家庭的理由あるいはインドネシア政府が進める中国製ワクチンへの警戒感など、様々な理由から未接種だった在留邦人には間違いなく「朗報」だろう。

7月にタイの日本大使館がバンコク市内で在留日本人に対するワクチン接種でタイ保健当局などと合意、さらにカンボジアやベトナムでも現在日本人向けの接種プログラムが進んでいるといい、歓迎すべき動きといえる。

実は7月にジャカルタの日本大使館に「タイでできることがなぜジャカルタでできないのか」と「嫌味」を言った。これに対し「気持ちはよくわかる、現時点では言えないこともあるがあらゆる手段で実現を目指している」との返答だった。

あとから聞けば、7月以前からタイの大使館や外務省そしてインドネシア保健当局との連絡、折衝、調整に着手しており、相手がインドネシア当局だけに時間がかかったものの、9月を前にようやく実現にたどり着くことができたという。保健当局の「なぜ地域や職場などの接種を受けないのか」「なぜ中国製を躊躇するのか」「なぜ日本人だけなのか」などの疑問に「日本政府が中国製を未承認」であることなどを根気強く説得し続けたという。

海千山千が多いインドネシアの役人相手の交渉、協議にはインドネシア語専門の外交官が直接当たったケースも多く、その熱意と努力には「敬意」を表したい。ただ、今回の実現には大使館の持てる全ての能力、人脈を傾注した「大使館一丸の努力の結果」という面も忘れてはならないだろう。

ただ、選択肢が限定される中ごく最近中国製ワクチン接種を受けたインドネシア企業に勤務の日本人もいる。「もう少し情報提供が早ければ待つことができたのに」と思いは複雑だ。様々な思いが交錯する中、取り敢えずは大使館の「在留日本人の接種実現」への努力を多としたい。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。