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ハノイSEAゲームで国旗掲げられず ドーピング機関の処分 インドネシア

2022年7月にベトナムのハノイで開催予定の東南アジア競技大会(SEAゲーム)でインドネシア選手団は国旗を掲げることができない見通しとなった。これは世界反ドーピング機関(WADA)が10月7日にインドネシアとタイ、北朝鮮の法令違反により下した処分に基づくものだとしている。

処分では、地域の競技会や世界選手権を開催できないほか、競技会にインドネシアの選手は参加できるものの、開会式、閉会式の入場行進や表彰式でインドネシア国旗「メラプティ」の使用が禁じられる。

この間の東京オリンピックに参加したロシア選手団がやはりWADAの処分とスポーツ仲裁裁判所(CAS)による違反認定でロシア国旗の代わりに「ロシア五輪委員会」の名称と旗で参加したのと同様の措置となる。

WADAはインドネシアの処分について「インドネシアの反ドーピング機関が効果的な検査プログラムを実施していないため不適の裁定となった」とその理由を説明している。

SEAゲームは1959年に第1回大会がタイで開催されて以降、2年ごとに東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と東ティモールが参加し、ASEAN10カ国の持ち回りで開催されている。2021年11月開催予定だったハノイ大会はASEAN各国でコロナ感染が依然として予断を許さない状況にあることから2021年に延期された。

インドネシアとタイの選手団は「東南アジアのオリンピック」で自国の国旗の下で競技できないことになり「残念無念の思い」であることは間違いないだろう。

インドネシアはSEAゲームでは東京オリンピックでも活躍したバトミントンや重量挙げをはじめ、セパタクローやサッカーなどで熱戦を繰り広げ、メダル獲得や上位入賞を果たしている。

インドネシアでは10月2日からパプア地方で国民競技大会(PON)も開かれ、連日熱戦が伝えられるなど、コロナ禍で閉塞した国民生活に熱気と興奮を与えてくれた。

今回のWADAの処分を受けてインドネシア反ドーピング機構(LADI)は「政府はさらにドーピング監視活動に十分注意を払うべきだ。監視には限界があり、大きな組織の協力が必要だ」と政府に支援を求めている。

心の中に国旗を抱いて東京オリンピック、PONに続くSEAゲームでのインドネシア選手たちの活躍を祈りたい。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。