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イスラム団体の幹部を逮捕 テロ組織に資金提供の容疑

 インドネシアにはいくつかの大きなイスラム教団体がある「ムハマディア」や「ナフダトール・ウラマ(NU)」は政治的分野にも活動を広げる団体で会員数は膨大だ。

それ以外にイスラム教の指導者でもある「ウラマ」による組織が「インドネシア・ウラマ評議会(MUI)」で、最も権威のある団体とされている。というのもMUIはイスラム教徒が従うべき見解、勧告、布告などである「ファトワ」を発出したり、食べ物などの禁忌を示す「ハラル」の認証を行ったりするなどイスラム教徒の倫理、規範、行動など根幹に触れる問題にも携わる団体であるからだ。

そのMUIの幹部が11月15日に国家警察に逮捕された。逮捕されたのはMUIファトワ委員会メンバーでシニアのイスラム学者であり、逮捕したのは国家警察の対テロ特殊部隊「デンスス88」である、という構図は事件がただ事ではないことを示している。

逮捕の容疑というのが「テロ関連法違反」容疑で、具体的にはイスラム教テロ組織へ資金を提供する慈善団体の創設に関わったというものだったのだからイスラム教徒だけならず国民の驚きは尋常ではなかった。

さらなる衝撃は資金を提供していたとされるテロ組織が国際的テロ組織「アルカイダ」と関連があるとされるインドネシアのテロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」だったのだ。JIといえば2002年10月にバリ島で外国人観光客など202人が犠牲となった爆弾テロや2003年のジャカルタ市内の米系高級ホテルでの爆弾テロ(12人死亡)の犯行組織とされているテロリスト集団だ。MUIのイスラム学者の中にテロリスト支援者が潜んでいた、ということである。

事件について「テンポ」誌は「インドネシアの宗教団体に不寛容、過激主義、テロリズムが組織的に浸透している危険がある」と警告した。

MUIは「あくまで個人の問題」として団体としては問題がないという姿勢を見せているが、そんな姿勢では根本的な問題解決は難しいだろう。

インドネシア・イスラム界の権威ある団体として、社会の各分野に蔓延しつつある不寛容や過激主義への適切で迅速な対応がテロとの戦いには不可欠である。11月16日は「国際寛容デー」とかでヤクット宗教相は「多様性と寛容を祝おう」と国民に呼びかけた。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。





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