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大学キャンパスに蔓延る性暴力 まるでパンデミックと教育文化相

ナディム・マカリム教育文化相が、現在インドネシアの大学キャンパスに性的暴力が蔓延しており、その状況は国内に広がったコロナウイルス感染の「パンデミック(世界的流行)」のようだと、11月12日にオンラインのシンポジウムで発言した。

インドネシアには公立私立の大学に加えて宗教系の大学、専門大学など各種の高等教育機関があり、大学生が自由な学生生活を謳歌しているのは日本をはじめとする他国と変わらない。

だが、2億7000万人という人口の約88%を占めるイスラム教徒は厳格な宗教的規範に従った生活が求められ、特に「婚前交渉」などは厳しく制限されている、というより実質的に禁止されている。

ナディム教育文化相によると2020年に行った教育省の調査で、大学講師の77%がキャンパス内で性的暴力が起きたことを認め、被害者の女子大生のうち被害を申し出たのは「3分の1」にとどまっていることを明らかにした。

性的交渉は「一定年齢以上の両者の合意に基づく」ことが一般的だが、イスラム教徒にとっては「両者の合意」以外に「婚姻に基づく合意」が必要とされている。

さらに大学生にとっては、教員や上級学生などによるレイプや痴漢行為などの「セクハラ」が、弱い立場から訴えられない「パワハラ」や「アカハラ」という側面もあるといわれている。

こうした状況に危機感を抱いた教育省は8月に法令を改正して、性的暴力の定義を拡大し「言葉や非身体的な攻撃」だけでなく「インターネットやSNS」などを通じたものも加えられた。具体的には「被害者の同意なくその身体に触れたり、こすったり、抱きしめたり、キスをしたりすること、服を脱がせること」などが新たな定義として加わったとしている。

だがイスラム教団体などはこの改正内容では「被害者の同意があればなんでも可能で婚外の性的交渉も認めているように解釈できる」と嚙みつい

教育省は「法令改正は被害者の保護が最大の目的であり、婚前交渉を認めるものではない」としているが、本音として大学生に「両者の合意があっても性的行為は禁止」とは明文化できない事情があるという。人権団体は教育省を支持し、保守的イスラム教団体に「不寛容と人権侵害」への配慮を求めている。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。

 

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