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【熱狂諸島】市原和雄氏|ますや・パパイヤフレッシュギャラリーを創業

ナンバー1へのこだわり

成功した事業ばかりではない。投資したものの、失敗に終わった事業の数は、20以上。トマト畑に出資したときは、広大な農地を眺めて男のロマンを感じた。しかし、うまくはいかなかった。

スーパーマーケットのお客様からの、「日本にあるような、100円均一の店があったら良いな」という声に応えて、ダイソーと提携したいと考えた。

代理店契約を願い出るための約束を取り付けようと、ダイソーに連絡を入れた。が、取り合ってもらえない。2度、3度と頼み込んだが、断られた。代理店の許可が出ないから、4度目は商品購入の申し込みをした。すると、ダイソー側が「一度、お会いしましょう」と言ってくれた。

私は、すぐにダイソーの本社がある、広島行きの飛行機を予約した。ダイソーから面会を打診されて、2日後には広島に到着。うれしさの余り、本当に飛んでいったのだ。ダイソー本社のスタッフは、私たちを歓迎してくれた。同社の矢野社長は多忙な方だ。しばらく待つことになった。私は、同行した自社従業員とともに待合室にあった雑誌やテレビを眺めていた。30分ほどすると、矢野社長が現れた。まず、苦笑しながら「(ダイソーの代理店は)儲かりませんよ」と言う。社長は、高慢さの一切ない人物だ。私は憧れの念を抱いた。話はうまくまとまった。

帰路、飛行機内で読んだ雑誌に矢野社長のインタビューを見つけた。「待っている間の様子を観察し、人柄を確認している」と記載されているではないか。一緒に出張したスタッフが、「待合室の後ろで、ウロウロされていた方が矢野社長だったんじゃないですか」と言う。確かに、そうだったかもしれないと思いつつ、予習しておかなかったことを悔いた。しかし、とにかく代理店の許可が出たことに安堵した。

DAISOオープン時

ダイソーと組んだときもそうだが、私は常にその業界のナンバー1企業と提携するようにしている。1番になれる会社とは、商品力や販売力に魅力があり、1位を獲得できるだけの理由がある。一代限りの努力ではなく、長い歴史と苦労の積み重ねにより、ナンバー1の地位を築いていたりするものだ。また、弊社以外が、1番手の企業と組んでしまえば、市場競争が厳しくなる。だから、何がなんでも1位の会社と組む必要がある。もちろん、私たち自身も1位を目指している。

1位を志す上で、欠かせないことは社員教育だ。私は、日本人社員とインドネシア人社員は、それぞれ適切な育成方法が異なると考えている。インドネシア人は、日本人と比較し、繊細なタイプが多い。だから、なるべく怒らず褒めて伸ばす。また、管理職には裁量権を与えるようにしている。もし、社員が失敗したら、私が尻拭いをすれば良い。やる気のある人間には、どんどん仕事を任せていく。

インドネシアは、私にとって最高の場所だ。この国で暮らす人々を愛している。

しかし、インドネシアでの仕事は、甘いものではない。成功するには、1年未満でボロ儲けする等という夢を見てはいけない。誠実に人間関係を作り、全力で仕事に取り組めば、お金やコネは、後からついてくる。

これからも私は、自分と会社の可能性を信じて挑戦を続けたい。

(2017年:週刊Lifenesiaに掲載)