ジョコ・ウィドド大統領が2期目の選挙活動時から提唱を続けてきた職業訓練制度「就業前カードプログラム」が、2020年4月の開始から2年経ち、大きな成果を出している。これまでの参加者は1280万人を突破。大統領は「1280万人の能力を向上させた。この人数は決して少なくない」と喜びながら語った。
就業前カードプログラムとは、インドネシア人材の能力を向上させる目的で、無料で職業訓練を受けることができる制度。職業訓練が終了後、参加者は4カ月間にわたり毎月60万ルピアの報奨金をもらうことができる。当初のスキームは職業訓練の提供が主だったが、新型コロナウイルスの影響で、政府の社会援助プログラムと組み合わされた。
職業訓練は全てオンラインで行われる。171社の訓練機関が提供する1000種類以上の中から自由に選択できる。トコペディアやブカラパックなど、政府が連携した6社のデジタルプラットフォームから買い物するように職業訓練を購入する。報奨金はBNI銀行やOVOなど、政府が連携した金融6社から現金または電子マネーで受け取る。官民一体の取り組みで、年間6兆ルピアの職業訓練市場が形成された。
対象者は18歳以上の非学生や、会社を解雇となった人、中小零細企業の従業員など。コロナの影響で解雇となった人の受け皿にもなっている。
調査報告によると、就業前カードプログラム参加者の95%が報奨金を受け取っており、88.9%が能力が向上したと感じているという。56%が遠隔の村落から参加し、小学校を卒業していない参加者も14%いた。また、これを機に銀行口座や電子マネーなどを初めて開設したという人も28%おり、金融包摂促進の効果もあった。
就業前カードプログラムは、生涯学習の観点から海外からも注目を受け始めている。
ジョコウィ大統領は、次の課題は職業訓練が終了した参加者への支援をどうするかだ、と更なる改善を目指している。