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揺れるPDIPの内部 早くも大統領候補絡み

ジョコ・ウィドド大統領の支持母体でもあり最大与党でもある「闘争民主党(PDIP)」が揺れている。ハストPDIP事務局長など関係者はこうした状況に対し、内部の動揺を否定し、一致団結を維持しているとしているが、地元メディアもそうしたことを額面通りには受け取っていない。

6月23日に南ジャカルタ・レンテンアグンの党施設で最終日を迎えた全国作業部会の閉会スピーチに、党首メガワティ・スカルノプトリ元大統領が立った。事前にハスト事務局長は報道陣に対して「サプライズがある」と何らかの特別な発言があることを示唆していたのだ。

報道陣は以前の大会での最後の閉会スピーチでメガワティ党首が大統領選の候補者としてジャカルタ州のジョコ・ウィドド州知事を指名するという「サプライズ」があったのだった。

そのためこの日のメガワティ党首による閉会スピーチで2014年の次期大統領選へのPDIP候補者を指名するのではないかとの期待が報道陣だけでなく会場を埋めた党員や関係者の間で高まった。

ところが閉会スピーチでメガワティ党首は「もう少し待って欲しい。未だに調整中だ」とだけ述べるにとどまり「サプライズ」はなかった。
こうした事態に様々な観測、憶測、分析が飛び交う事態となった。

真相は闇の中だが、最も説得力がある説は、メガワティ党首は長女のプアン・マハラニ国会議長を次期大統領選の党候補者として発表という「サプライズ」を用意していたとするもの。ところが、党内から「プアン議長」を大統領候補とすることへの反対、反発、抵抗がくすぶりメガワティ党首や党幹部の間に広がり、このままでは党の分裂、分断に発展する可能性があるとして、とりあえずこの23日の指名発表を見送ったというのだ。

党内部にはプアン議長の政治経験の少なさに加えて上から目線、傲慢、メガワティ党首の威光利用といった個人的素養などからの反対論が強いという。さらにスカルノ初代大統領、メガワティ前大統領に続く「スカルノ王朝」への反発もあり、そうした党員や関係者が担ぎ出そうとしているのがガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事であり、これが不協和音を醸しだしているという見方が有力となっている。メガワティ党首はプアン議長が「一押し」だけに、今後の党内修復が課題だ。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。