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ジャカルタで特別外相会議開催へ ミャンマー問題を協議、ASEAN

ジャカルタで10月に東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別外相会議が開催されることになった。ASEANが現在抱える最大の課題であるミャンマー問題を集中的に協議するための異例の会議となる。

というのも通常のASEAN外相会議は議長国での開催が原則で、2022年の議長国はカンボジアで本来ならカンボジアでの開催となるのだが、今回はミャンマー問題に特化した特別な外相会議であり提唱したのがインドネシアのルトノ・マルスディ外相であることからジャカルタでの開催になったという。

さらにミャンマー問題ではカンボジアは融和的方針でミャンマーの軍事政権と向き合い、「対面での会議を通じて和平・仲介を果たす」とのフンセン首相の方針に従い、ミャンマー軍政に厳しい姿勢を取らないこともカンボジアでの特別外相会議の開催が実現しなかった背景にあるといわれている。

ASEANではマレーシアのサイフディン外相が軍政とではなく、反軍政の立場から抵抗を続ける民主派の組織「国家統一政府(NUG)」の代表を今後は交渉相手として協議を進めるべきだとの姿勢を提唱した。

これはこれまでのASEANのミャンマー問題へのアプローチを根底から変えるもので、元々ミャンマー軍政に厳しい姿勢を示していたシンガポールやインドネシアなどからは歓迎する声もでていた。

ミャンマーの頼みの綱であり後ろ盾でもある中国への配慮、忖度から強硬姿勢がとれないカンボジアやラオス、実質的にはミャンマーと同じ軍事政権であるタイなどが果たしてマレーシア案に賛同してASEANとしての姿勢変更に同意するかどうかが特別外相会議の最大の争点となる。

サイフディン外相は11月にカンボジアで開催予定のASEAN首脳会議に向けて「首脳会議で重要な決定をするための基礎、土台作りを特別外相会議で行うことになる」としており、最終的なASEANのミャンマー問題に関する方針に関しては首脳会議で決定されることになるとの見通しを示した。

ミャンマー問題では2021年2月1日の軍によるクーデター以降、インドネシアがASEANの和平・仲介を主導してきたが、ジョコ・ウィドド大統領が11月にバリ島で開催のG20で議長国としての役割を果たすことに専心、ミャンマー問題での主導権をマレーシアに奪われ、それを取り返すための特別外相会ジャカルタ開催という側面もある。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。