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マッチョ形成に役立つテンペの効能 納豆に似た大豆の発酵食品

テンペはインドネシアのソウルフードの一つで、日本の納豆に似た発酵食品である。テンペと聞くと日本の納豆を想像してしまうが、両者は相違点も多い。例えば調理法の違いがある。納豆は基本生食で、熱に弱い酵素があることや匂い、粘り気が強く調理には向かない。その反面、テンペは粘り気がなく、匂いもほとんどしない。

また、テンペは加熱して食べる事が基本で、調理してもその酵素が壊れないので様々な料理に合わせられることが特徴である。テンペの最も一般的な調理は揚げることだ。テンペゴレンやテンペゴレンムンドアンなどがある。

テンペの起源に関して、数世紀前のインドネシアのジャワ島中央または東ジャワが発祥とされるが、明確には不明のままである。一部では、定期的に華南との貿易が始まったとされる1000年頃に大豆が伝わり、それ以前にはココナッツでテンペの原型に近いものを作っていたという説がある。(*ちなみに納豆の起源も定かではない。縄文時代には大豆を栽培しており、住居に敷き詰められた藁と炉の温度で煮豆と藁の菌が偶然作用したのではないかと考えられている)

テンペに関して最初の記述は、オランダ人科学者による1875年頃とされている。1905年には、東京帝国大学植物研究所教授の斎藤賢道がテンペ菌を研究。1928年には、微生物学者の中澤亮治が日本で最初にテンペについて言及した。同年、中澤の同僚、武田義人と共に『南太平洋でオンチョムとテンペを作るために使用されるラギについて』を書き記した。ラギ(ragi)とはインドネシアの発酵食品に古くから不可欠のスターターである。ラギはインドネシア語で酵母の意味で、インドネシア語のperagian(発酵)の祖語でもある。

第二次世界大戦中には、テンペがジャワ周辺に駐留する多くの日本人から周知された。テンペを「ジャワ納豆」と呼んだとも言われている。1983年には日本の会社5社がテンペの商業化に動き出した。しかし、各社テンペの売上は思うように伸びず、徐々にテンペ事業から撤退していった。近年の日本で、テンペを販売する店や生産する会社も再び注目されている。それは、社会全体で健康寿命を延ばす為に、タンパク質を積極的に摂ろうという健康志向の流れがある。テンペの平均タンパク質含有量は100g中16g(一般的な牛肉は17g)。タンパク質含有量が多く、鉄やカリウムの含有量も豊富である。そして、安価に購入できる点も魅力的な大注目食品である。