世界的な森林損失に歯止めがかからない一方で、いわゆる「世界の肺」の一部であるインドネシアは森林損失を減少させている。
世界資源研究所が管理する森林のモニタリングシステム「グローバル・フォレスト・ウォッチ(GFW)」の報告書によると、引き続き世界規模での森林減少は進行しており、2022年には前年比10%増の約410万ヘクタールの熱帯原生林が減少した。
このうち、インドネシアの減少面積は23万ヘクタールだった。2021年の20万3000ヘクタールからは増加したものの、インドネシアの近年のトレンドをみてみると、2015~2017年の3年間の平均森林損失と、2020~2022年の数値を比較すると、原生林の損失を64%削減することに成功している。
GFWのゴールドマン研究員は「インドネシアは近年、他のどの国よりも一次林(原生林)の損失を減らしており、政府の対策と企業の行動の両方がインドネシアの森林にプラスの影響を与えている」と高く評価した。成果を生んだ政策として、ホットスポットの監視、法整備、泥炭地とマングローブエリアの保護などが挙げられた。
なお、林業省は7月1日に2021〜2022年の森林減少面積は10万4000ヘクタールだったと発表した。2020〜2021年の11万3500ヘクタールから8.4%減少し歴史的な低水準を記録したと説明しているが、この数値はGFWのデータと解離がある。これは林業省と世界資源研究所の森林減少の定義が異なるためである。
このほど、林業省と世界資源研究所はパートナーシップを結び、インドネシアの森林モニタリングシステムを強化しようと動き出したところである。