1958年に日本=インドネシア平和条約が結ばれ両国間の国交が樹立されてから、今年で65周年を迎える。インドネシアは親日国として知られ、経済や文化など様々な分野で友好関係を築いている。日本語学習者の数も中国に次ぐ2位の71万人を数え、インドネシア人の日本に対する興味の高さが窺える。そんな両国の友好関係にゾウとコイの存在があることは、あまり知られてはいない。
『若狭国税所今富名領主代々次第』にはゾウがインドネシアから日本へ贈られた記録が残っている。
『同十五年六月廿二日に南蕃船着岸、帝王御名亜烈進卿、番使々臣〈問丸本阿〉、彼帝より日本の国王への進物等、生象一疋〈黒〉・山馬一隻・孔雀二対・鸚鵡二対、其外色々、』1408年(応永15年)6月22日、小浜港に南蛮(スマトラ島パレンバン)から来船。南蛮の帝王である亜烈進卿の命により、室町時代の足利家持将軍に黒い象1頭、山馬(サンバー)2頭、孔雀2対、オウム2対、その他の献上品があった。これが日本人にとって、初めてゾウを見た瞬間だったとも言われている。パレンバンから贈られたゾウは、その後若狭から京都へ向かい、将軍に献上されたのであった。
ヒレナガニシキゴイも欠かせない友好の証だ。1962年に上皇さまがインドネシア訪問した際、ヒレナガゴイに関心を持った。魚類学者でもある上皇さまが、日本原産のニシキゴイとインドネシア原産のヒレナガゴイの交配を提言し、県水産研究所(埼玉県加須市)でヒレナガニシキゴイは誕生した。1991年9〜10月には上皇さまが天皇に即位後初の外国訪問で美智子さまとインドネシアを訪れた。(同時期にタイ、マレーシアにも訪問)友好の証として日本で生まれた50匹のヒレナガニシキゴイをスハルト大統領夫妻に贈呈した。帰国後の同年11月、上皇さまは皇居東御苑・二の丸庭園の池にヒレナガニシキゴイを放流した。多くの人に見てもらうためだった。今日も二の丸庭園の池には、長いヒレを優美に揺らすヒレナガニシキゴイが泳いでいる。
ヒレナガニシキゴイは大きなヒレが魅力の一つで、コロナ禍を契機に一般の方の間でも注目されつつある。SNSでヒレナガニシキゴイの投稿が増え、家で飼育したいとペットショップに問い合わせが多くなっているという。日本のペットショップなどでも販売しているので、覗いてみるのも楽しいだろう。