物珍しさから外国人観光客も足を運ぶ北スラウェシ州の伝統市場「トモホン市場」で、犬と猫の肉の販売が禁止となった。
当地では、北スラウェシ最大の民族であるミナハサ族にとって犬猫の肉を食べることは伝統である一方、市場での残忍極まりない扱い方や不衛生な管理について、動物保護団体などが長年、動物虐待や狂犬病の観点から取引禁止を求めていた。
今回、禁止令を発令したトモホン市政府は「トモホンで犬猫肉への関心を減らすには、まず市場での販売を止めることから始める必要がある」と述べ、禁止令に違反した事業者には法的制裁を下すと明らかにした。
また、禁止令の発令に際し、動物保護団体のヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)とアニマル・フレンド・マナド・インドネシア(AFMI)は、犬21匹と猫3匹をトモホンの食肉処理場から保護した。
北スラウェシ州の市場へ30年近く犬や猫の肉を卸してきた業者のひとりであるボンゴ氏は「市政の規則なので、従うしかない」と語った。ボンゴ氏によると、トモホン市場で犬や猫が残忍な方法で殺されている動画が2018年頃にネット上で拡散されて以来、犬猫肉の販売を止めるよう求める声が多くなったという。ボンゴ氏はこれまで、販売する犬や猫の90%程度を、犬や猫の肉を食べることが禁じられているイスラム教徒が多く住む近隣の州から仕入れてきた。5〜10万ルピアで仕入れた動物を、キリスト教徒の多い北スラウェシ州で約70万ルピアで売っていたというが、今後は豚肉の販売に専念するそうだ。
また、別の業者のカポ氏は「犬の肉はトモホン市場のベストセラーだった。通常、業者は150匹を供給するが、数時間で売り切れるほどだった」と語った。カポ氏自身も犬肉を食べ、特に唐辛子などの香辛料と合わせた「リチャリチャ」という料理にするのが好きだったというが、政府のルールに従い販売がなくなれば、おのずと消費も減っていくだろうとコメントした。