世界銀行の最新の調査で、インドネシアの学生は新型コロナウイルスのパンデミックにより約1年の学習時間を失ったことが明らかになった。この学習損失により、将来の年間収入がひとり当たり990万ルピア減少すると推定されている。
2020年3月に初めて国内での感染が確認されて以来、あらゆる社会活動に制限がかかったが、教育現場も柔軟な対応が求められたひとつである。ほとんどの学校が休校を余儀なくされ、オンライン学習の期間が23カ月間続いた。世界的にみて、インドネシアはコロナによる休校期間が最も長い国のひとつだという。
世界銀行が2023年に行った比較調査において、コロナ前の2019年と2023年の全国の小学4年生の識字能力と計算能力を調査した結果、インドネシアの学生は平均11.2カ月の学習時間を失ったことが判明した。休校1カ月間の学習損失は世界平均で1カ月であることから、インドネシアは学習損失の影響を最小限に抑えることができたと言えるだろう。
その要因として、教育・文化・研究・技術省の教育基準・カリキュラム・評価庁のアニンディト長官は、コロナ禍において「緊急カリキュラム」への変更を許可したことを挙げている。緊急カリキュラムでは、1学年で学習する内容を必要最低限まで削減することができる。例えば、南タンゲランのある小学校では、パンデミック中は英語がカリキュラムから外されていた。同省の調査によると、緊急カリキュラムを使用した学校では、それ以前のカリキュラムを使用した学校と比べ学習損失が20%少なかったという。
他方、インターネットにアクセスできない学生や貧困家庭の学生は、そうでない学生と比較して学習損失が桁違いに拡大した。このような学生間の学習格差は、コロナ禍を経ても依然としてインドネシアの教育課題のままである。