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健康意識の高まり受けて再上陸 生野菜たっぷりのサブウェイ

最近、健康意識の高まりを感じることが増えた。経済発展により所得が増え、ライフスタイルが変わりつつあるのも大きな要因だと思われるが、やはり大きな契機となったのは紛れもなく新型コロナ感染症だろう。

肌感覚ではあるが、2020年頃を契機に食事や運動に気を遣う人が大幅に増えたと感じる。

保健省も健康に対する取り組みを7つまとめたプロジェクト「Germas (Gerakan Masyarakat Hidup Sehat)」を推進しており、その中でも特に運動、健康的な食生活、定期健診の3つを優先的に取り組むよう国民に呼びかけている。

インドネシアに滞在した経験がある方なら大いに頷くだろうが、この地でまず直面するのは運動機会の不足と偏った食生活だ。日本人は基本的に自宅と会社・学校間を車で移動するため、徒歩で出勤・通学というシーンはほぼない。現地の人も、公共交通機関やバイクを乗り継いで移動することが多いので、どうしても運動量は少なくなる。しかし、最近はジムに通ったり、街中でランニングやサイクリングを楽しむなどして、意識的に運動機会を設ける人が増えてきている。

食生活に関しても、インドネシア料理は油を多く使い、野菜の量が圧倒的に少ない。事あるごとに揚げ物と唐辛子が登場し、揚げ物片手に歓談する光景はインドネシアの代名詞とも言える。ただ最近は、野菜の生食意識が高まり、デリバリーフードを中心に、白米の代わりに「Shirataki Rice」を使用して低カロリーを謳うメニューなどがよく目につく。

この食への意識向上が顕著に表れている例が、90年代に初上陸しその後撤退した米大手サンドイッチチェーン「Subway(サブウェイ)」の再上陸だろう。

今と違って生野菜への敬遠が色濃かった時代、サブウェイはなかなか受け入れられず数年後には街から姿を消した。しかし、昨今の健康意識の高まりを受けて、満を持して再度インドネシア市場に参入してきた。外国人や華僑だけではなく、幅広く国民に受け入れられた結果、国内86店舗まで急拡大している。90年代の「食材は火を入れないと中る」イメージのある混沌としたジャカルタからすると隔世の感を禁じ得ない。

そんなサブウェイに知人が出かけ、3種類サンドイッチを注文した。それぞれパンと野菜を選んだのだが、日本と違っておススメのソース表記が見当たらない。店員にオススメのソースを聞いたら、3種類とも「チリソース」との回答。これには思わず笑ってしまった。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。