QRコードを利用した決済システムの国内統一規格で、QRIS(クリス)という呼び名で親しまれている「クイック・レスポンス・インドネシア・スタンダード(QRIS)」のサービス拡大が進められている。これまでは、インドネシア国内の加盟店舗に設置されたQRコードを読み取ることで、事前に登録した電子マネー口座などから支払いができるのみであったが、相互利用ができる国が増加したり、9月からは現金の入出金に対応したりする計画である。
インドネシア銀行(BI)は8月、シンガポールとのQRIS相互利用のトライアル運用を開始した。シンガポールとの連携に先立ち、昨年8月にタイと、今年5月にマレーシアとの相互利用を開始しており、今回で3カ国目となる。
この機能があれば両国の利用者はどちらの国でも決済ができるようになり、両替やクレジットカードを利用する必要がなくなる。観光やビジネス、医療目的の滞在が多い各国との連携を強化することで、利用者の利便性が高まり経済の活性化が期待できる。
このほか、インドネシアはASEAN諸国や日本、韓国、中国などともQRコード決済に関する連携を図るため協議を進めている。日本とは、昨年12月にBIと経済産業省がQRコード決済の相互運用に向け情報交換や技術協力を行うことで合意している。
BIはまた、今年9月から現金の入出金や送金ができる新サービス「QRIS TUNTAS」を開始すると発表した。ATMやQRIS TUNTAS加盟店でQRコードを読み取ることで、入出金などができるようになる。
QRISは、デジタル決済が広がり始めた2019年5月に、各システム間の合理化を図る目的で導入された。コロナ禍には紙幣によるウイルス感染を考慮しデジタル決済が急速に拡大し、それに伴いQRIS決済を導入する企業が増加した。現在、国内では3600万人がQRISを利用しているという。