バリ島ギャニール県で休暇を過ごすとあればまず訪れておきたいのが、ヒンドゥー教の遺跡、ゴアガジャ(Goa Gajah)遺跡である。
11世紀前半、ワルマデワ王朝のウダヤナ王の時代に造られた修行の為の聖地ではないかと考えられているが、未だ解明されていないことも多い神秘的な遺跡である。発掘時に、石窟の入口の彫像が象のように見えたことから「象(ガジャ)の遺跡(ゴア)」と呼ばれているというのが一般的な説だが、ゴアガジャ観光ガイドのニョマン・スカダナさんは「ゴアガジャという名前は当時付近を流れていた川の呼び名『象(ガジャ)の川(水/ルワ/Lwah)』という言葉から来ている」と説明する。
巨大な鬼面が彫られている洞窟の入り口から足を進めると、内部には幅約1m、高さ約2mのT字型の通路が広がる。通路の左右には瞑想に使用されたといわれている複数のくぼみ、通路の東奥・西奥には神像を祀る壁龕がある。発掘時にはこの壁龕には何もなかったことが記録されているが、現在は東奥の壁龕にはヒンドゥー教の三大神ブラフマー・ヴィシュヌ・シバのシンボル、西奥の壁龕には「地球のマグマの中心」を意味するRatu Manik Geniと呼ばれるガネーシャの坐像が祀られている。若さを保つと言われる古代の沐浴場も必見の価値がある。