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インドネシアの神秘的な文化遺産「クリス」の歴史と種類と意味

(c) budaya.jogjaprov.go.id

ユネスコに登録されている無形文化遺産「クリス(短剣)」は神秘に満ちている。その起源については諸説あるが、少なくとも9世紀には存在していたことを、考古学的証拠は示唆している。マジャパヒト王国時代には製造技術がより高度化し、クリスを家宝とする伝統文化はそれ以降のジャワの王国でも脈々と引き継がれてきた。

インドネシア、特にジャワの社会においてクリスは、護身や決闘用の武器、地位と権力の象徴、伝統的衣装、芸術品、外交ツール、家宝、お守りと、いくつもの機能と役割を果たしてきた。現代においても文化遺産、芸術品として大切にされており、コレクション価値は非常に高い。クリスは形状、産地、機能などによって分類される。また各パーツの形状、彫刻、装飾から、そのクリスの所有者の地位や起源を読み解き、歴史・文化・芸術的価値が判断されている。

クリスを作れるのは技術力と精神力を併せ持つ職人のみ。作り手の精神状態がクリスの力に影響を与えると信じられており、職人は制作中に特別な儀式や断食を行うこともある。クリスは小さな世界(人間)と大きな世界(宇宙)の融合、男性と女性、道徳的教訓、人間と自然の関係、精神的保護、先祖への敬意、団結などを象徴する存在でもあり、定期的に沐浴の儀式を行うなど、適切な管理とケアが求められる。