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巨石の島のニアス族はなぜ、どのように首狩りを行っていたのか

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 首狩りの風習と聞くとダヤック族を思い浮かべる人も多いだろうが、ニアス諸島に住むニアス族にも、かつて「マンガイ・ビヌ」と呼ばれる首狩りの風習があった。「マンガイ」は「取る」、「ビヌ」は「狩られた人間の頭」を意味する。この伝統には「マンガイ・ホゴ」という別の呼び名もあり「ホゴ」は「人間の頭」を意味する。マンガイ・ビヌは選ばれた男性の戦士によって行われ、首狩りを行う人々は「エマリ(「恐怖で叫ぶ」の意)」と呼ばれた。

 首を狩る方法は複数あったが、古代においてニアス族は好戦的な民族として知られており、戦いを介して首狩りを行うことが主であった。墓に埋葬された頭蓋骨は来世では召使いとして働くと信じられていて、エマリは狩りの前に、たくさんの首が得られるよう神々に加護を求めて祈り、ワニ皮で作られたベルトとイノシシの牙で作られた頭飾り、トログと呼ばれる剣を身に着けて狩りに臨んだ。狩りは、3〜4月の特定の季節にのみ行われ、エマリは獲物を探して遠方まで旅をすることもあったという。狩られた人間の頭は、精神的強さや戦功の証明、豊作や村の安寧の祈願、巨石記念物や家屋建設の際の儀式、神意を占う儀式などで供物として使用されていた。首狩りの風習は19世紀初頭まで続いたが、ニアス諸島にキリスト教が伝来し同風習は消失した。