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家宝を清めるジャワの正月伝統行事に現れるジャワ人の人生哲学

(c) travel.kompas.com

ジャワの正月(Suro)やイスラムの正月(Muharram)には、数々の伝統行事が執り行われる。家宝を清める儀式「jamasan pusaka」もそのひとつ。王宮内で行われるだけでなく、一般の人々もまた同期間にクリスなどの家宝を清める。

ジョグジャカルタ王宮(クラトン)博物館のRA Siti Amieroel N氏は「この儀式は、家宝とともに自らも心身を清め、来る年の生活がより良くなることを願う、年始の伝統です」と説明する。例えばクリスが司祭や指導者の象徴とみなされるように、ジャワの人々にとって家宝は持ち主の価値観、リーダーシップ、アイデンティティのシンボルである。故に家宝を清め大切に扱うことは、持ち主の道徳、倫理、高潔さを維持するための努力の表れでもある。

宮殿で行われるjamasan pusakaの儀式は宮殿内部の関係者のみによって執り行われ、その様子は一般公開されない。実施時期と実施方法はスルタンの直接の勅令によって定められ、VVIPステータスの家宝は、儀式後にスルタンの手で封印される。SurakartaのMangkunegaran寺院にも同様の伝統が残っている。同寺院では家宝を清めるだけでなく、王族、従者、一般の人々が参加し寺院の外壁を一周する、家宝の行列も執り行われる。