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岩壁に刻まれた王家の祈りが息づく、古代遺跡への旅

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バリ島ギャニャールの静かな渓谷にたたずむチャンディ・グヌン・カウィは、訪れる人を古代の世界へと導く神聖な遺跡である。深い森に包まれた谷の奥には、巨大な岩壁に直接彫り込まれた10基のレリーフが並び、自然と人の手が生み出した壮麗な景観が広がる。

その由来は11世紀に遡り、ラジャ・ウダヤナから息子アナク・ウングスの時代に築かれたとされる。この場所は王族を祀る聖域であり、岩壁に刻まれた碑文は、ウダヤナ王とその一族の歴史を現在に伝える。王家の霊を弔うために整えられたこの地は、精神的にも文化的にもバリにとって重要な存在であり、今日まで大切に守られてきた。

数百段の石段を下りていくと、パクリサン川沿いに広がる渓谷の絶景が目に飛び込んでくる。周囲にはスバックと呼ばれる棚田が広がり、豊かな水と緑が織りなす静謐な風景が心を落ち着かせてくれる。さらに、パクリサン川とブラン川が合流する「チャンプアン」は、ヒンドゥー教徒にとって身を清める聖なる場所で、今も祈りの儀式に使われている。

チャンディ・グヌン・カウィは、単なる観光地ではない。古代の王家の物語と、バリが受け継ぐ精神文化に触れられる“生きた博物館”のような場所だ。バリの魂を感じる特別な旅が、ここから始まる。