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世界最大級のクラゲの湖、カカバン島

(c) travel.kompas.com

東カリマンタン州ベラウ県に位置するカカバン島は、世界でも極めて珍しい塩水湖を持つ自然遺産である。面積774ヘクタールの外洋島の中央には、島の約8割を占める巨大な塩水湖が広がり、その存在はフィリピンにある同種の湖とともに、世界でわずか二つしか確認されていない。

この湖が“クラゲの湖”と呼ばれる理由は、毒をもたないクラゲが群生しているためである。金色のクラゲや逆さクラゲなど四種が生息し、長い進化の過程で毒針をほぼ失ったと言われる。湖内にはナマコや小型のカニ、イソギンチャク、さらに三十種を超える海綿類も確認され、生態系の豊かさが研究者を惹きつけている。

観光は厳格な保全方針のもとで運営されている。日焼け止めの使用禁止、フィンやスキューバの禁止、飛び込みの禁止など、繊細な湖環境を守るためのルールが徹底されている点が特徴である。訪問者は水をかき乱さないようゆっくりと泳ぎ、クラゲを手に取ることも禁じられている。

また、カカバン島では素朴な郷土料理も楽しめる。もち米とココナツミルクをパンダンの葉で包み、ウニの殻に詰めて蒸し上げる料理で、海の香りと優しい甘みが独特の味わいを生む。

神秘の湖と唯一無二の生態系、そして素朴な食文化。カカバン島は、インドネシアの自然が生み出した奇跡を体感できる特別な場所である。