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世界銀行、インドネシアの雇用に警鐘

世界銀行は2025年12月16日、インドネシア経済報告(IEP)を公表し、同国の経済成長を国民の福利向上につなげるためには、雇用の質の改善が不可欠であるとの見解を示した。マクロ経済の安定は維持されているものの、労働市場の課題が世帯の生活水準に影を落としている。

世界銀行のインドネシア・東ティモール担当局長、キャロリン・ターク氏は、特に若年層における雇用の質を問題視する。2024年8月から1年間で就業者数は1.3%増加したが、その大半が低賃金セクターに集中している。また、実質賃金は2018年以降、下落傾向にあるという。

同行のチーフエコノミスト、デビッド・ナイト氏は、雇用の創出自体は進んでいるものの、賃金低下が中間層の不安を招いていると指摘する。客観的な貧困率は低下している一方で、主観的な貧困感を持つ世帯が増加している実態も明らかになった。世銀は、持続可能で包括的な成長の実現に向け、高付加価値な雇用の創出を優先すべきだと提言している。