インドネシア各地には、数百年にわたり信仰とともに時代を越えてきた古い教会が今も残されている。北ジャカルタにあるトゥグ教会は1678年に建立され、解放奴隷マルディケルの人々によって守られてきた、ジャカルタ最古級のプロテスタント教会だ。ポルトガル文化の影響を色濃く残し、宗教と地域文化が交差する貴重な存在である。
ほぼ同時代の1677年には、北スラウェシのマナドでセントルム教会が建てられた。街の中心に位置するこの教会は、植民地時代から市民生活の核として機能し、重厚なコロニアル建築が今も往時を伝えている。
1753年建立のブレンドゥック教会は、中部ジャワ・スマラン旧市街の象徴だ。丸いドーム屋根を持つ独特の外観は、ネオクラシックとバロック様式が融合したもので、宗教建築でありながら都市景観の主役として親しまれてきた。
さらに東へ目を向けると、マルク諸島アンボン近郊のヒラ旧教会がある。17世紀にVOCによって建てられたこの教会は、厚い壁と高い屋根を備え、香辛料交易の時代とキリスト教布教の歴史を静かに物語っている。
信仰、歴史、建築、そして地域文化。これらが交差する教会は、インドネシアという国の多層的な歴史を静かに語りかけてくれる存在だ。旅の途中で立ち寄れば、きっと新たな視点が開けるだろう。




















