自社の権益を守るため商標登録は大切な手続きです。日本で登録済みの商標であっても、インドネシアで有効にするには改めて登録が必要です。
インドネシアにおける商標登録は、法務人権省知的財産総局商標局が所管しています。
商標登録の世界では基本的に「早い者勝ち」となっており、商標局のデータベースに「過去に登録さ れた形跡がないもの」であれば、誰でも登録できるようになって います。しかも商標局は「登録者が本来の商標の持ち主であるか どうか」についてチェックしておらず、過去に類似なものがなけれ ばほぼ自動的に登録しています。
仮にインドネシアの企業や個人が先に自社商品の商標登録済みだった場合、いくら日本のある企業が「われわれは数十年前か らこの商品を作っており、アジア各地でも広く販売されている」な どと裁判で主張したところで、インドネシアでは先に登録を済ま せた方を支持することが往々にしてあります。
インドネシアでの商標登録手続きのポイント
- 進出する前に商標が登録されていないか事前調査を進める。
(類似のものが登録されていないかの事前調査だけでもコンサ ルティング会社で対応可能) - 申請から登録の完了には2〜3年が必要。
- コンサルティング会社に依頼する場合の費用は一般的に30 〜500米ドル
- 会社定款
- 代表者の身分証明書
- 委任状(申請をコンサル会社に委任するため)
- 商品見本
- 使用目的に沿ったカテゴリーを選定
類似商標が他社により取得済みだった場合
インドネシアでは「意図的にホンモノが進出する前に商標権を取得する」冒認出願が多いのが現状です。
日本ブランドの信頼感が厚いこともあり、商標を先に取ることで「商標権の売却益な どを得る」目的があるとも言えます。実際に、バイク関連分野では部品や関連用品などで商標を他人に登録されてしまったケースが多いようです。
対処法として考えられるのは次の3つの方法ですが、いずれにしても多額の費用がかかります。
- 裁判をして取り消してもらう
- 登録者と直接交渉して取り消してもらう(商標権を買い取る)
- 商標権の使用許諾を得る
国際的な認識としては、著名な商標はそもそも他社が勝手に 登録できない仕組みになっています。著名性の証明は「申請時に複数か国で商標登録が完了していること」が判断基準となりますが、インドネシアでのこれまでの判例を見る限り、必ずしもそのような流れになっていません。
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