インドネシアの都市部で広く親しまれている大衆食堂「ワルテグ」。これはジャワ・トゥンガ州のテガルに由来する「ワルン・テガル」の略称である。手頃な価格で満腹になる多種多様なおかずを提供しており、都市部の人々の生活に欠かせない存在となっている。
その歴史は1960年代、テガルのシダプルナ、シダカトン、クランドンという3つの村の人々が、ジャカルタなどの大都市に出稼ぎへ出たことから始まった。当初は低所得の都市労働者向けのビジネスだったが、現在ではあらゆる階層の消費者に親しまれている。
特筆すべきは、そのユニークなビジネスモデルである。店舗は単独ではなく複数の個人で共同所有され、数ヶ月ごとに交代で店舗を管理する。当番以外の期間は村へ帰り、農業に従事するという非常に合理的な生活様式を確立しているのだ。
さらに、小さな店舗の建築には実用性と深い哲学が詰まっている。左右にある2つの扉は「多くの幸運」を象徴しつつ、客の動線をスムーズにして行列を防ぐ役割を果たす。また、沿岸部にある故郷を象徴する青い壁や、身分を問わず客が肩を並べて座る長椅子は、社会的な平等を体現している。
もうひとネタ!
ガラスのショーケースに並ぶ料理は指差しで注文できるため、外国人旅行者にも優しい設計である。長椅子に座ってインドネシアの平等精神とローカル気分を味わうのもおすすめだ。

















