LINE公式アカウント 友だち登録はこちら

イスラムと土着文化が交差する夜:ジャワの新年「マラム・サトゥ・スロ」の謎に迫る

インドネシアのジャワ社会には「マラム・サトゥ・スロ」と呼ばれる神聖な夜の伝統がある。これはジャワ暦における最初の月、スロ月の1日目の夜を指し、イスラム暦の新年であるムハッラム月1日と重なるものである。ジャワ暦では日没を1日の始まりとするため、この日は前日の夕暮れ時から厳かに幕を開ける。

ジャワ暦はイスラム暦、太陽暦、ヒンドゥー教のサカ暦が融合した極めて独自の暦である。この暦を生み出したのは、マタラム王国の王スルタン・アグン・ハニョクロクスモであった。彼はサカ暦を用いていた民衆にイスラム教を広めつつ、宗教の違いによる人々の分断を防ぎ、団結させるために暦の統合を図ったのである。

この神聖な夜には各地で「キラブ」と呼ばれるパレードが行われる。ソロでは王宮の大切な家宝とされる神聖な白い水牛が街を練り歩く。一方、ジョグジャカルタでは伝統的な短剣などの家宝や、グヌンガン・トゥンペンという山型の供え物が登場する。

マラム・サトゥ・スロは単なるお祭り騒ぎではなく、内面の平穏や神への接近を求める時間である。人々は自己の存在と神との関係を忘れない「エリン」と、誘惑から身を守る「ワスパダ」という哲学を胸に、この神聖な月を過ごすのである。

もうひとネタ!
暦の統合が始まった1633年7月8日は「金曜日のレギ」と呼ばれる日で、この日を私欲のために使うと不運を招くと信じられているのである。