インドネシアの伝統的な大豆発酵食品であるテンペは、いまや世界中で愛されるスーパーフードである。その歴史は非常に古く、16世紀のジャワ社会にまで遡る。食品・栄養・健康分野の専門家であるマデ・アスタワン教授によると、マタラム王国時代の生活を描いた古典文学『セラット・チェンティニ』にもその名が記されており、450年以上も人々の生活に根付いてきた歴史がある。
テンペの発展は、17世紀に中国系の人々がジャワへ持ち込んだ豆腐の存在と深く結びついている。歴史家のオン・ホク・ハム氏によれば、植民地時代の牧畜制限や強制栽培制度による食糧難の中で、安価で栄養価の高いテンペが庶民の貴重なタンパク源として重宝されたのである。
時代とともにテンペは独自の進化を遂げ、各地で多様なバリエーションを生み出してきた。現在、テンペは豊富なたんぱく質や食物繊維を含み、発酵によって栄養が消化吸収しやすくなっているため、ベジタリアンにも最適な食品として世界中の研究者から推奨されている。伝統的な知恵が生んだこの食品は、今なお世界の人々の健康を支え続けているのである
もうひとネタ!
ジョグジャカルタではスルタンも愛した「ジャダ・テンペ」があり、バニュマスではココナッツの果肉を用いた安価な「テンペ・ボンクレック」が誕生した。















