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インドネシアの税金制度|個人所得税関連

インドネシア国内の個人所得税

インドネシアに居住している個人は現地で所得税を納税する義務があります。インドネシアの税務当局による「居住者」の定義に沿って、それに該当する人は現地の税務当局に対し「全世界所得」を確定申告し、納税しなければなりません。

インドネシアで税務申告が必要な居住者の定義
  • 12カ月の間に183日以上インドネシアに滞在する者
  • インドネシアに住所を持つ者、つまり一時滞在 許可(ITAS)保持者
  • 課税年度内にインドネシアに住む意志を持つ者

→いずれかに該当する者は、インドネシアの税務当局に「全世界所得」を申告しなければならない。

インドネシアの税務当局が「居住者」とみなす人は「全世界所得」をインドネシアの税務当局に申告しなければなりません。

一方、非居住者に対する報酬などは20%の源泉税が課せられます。

居住者に対する所得控除と税率

インドネシアにおける個人所得税は、1月1日から12月31日までの暦の1年間の総所得から計算されます。年間額面所得から下記控除が控除され、課税所得として算出されます。

個人居住者の所得に対する税率

課税所得IDR(額面年収) 税率
最初の50,000,000まで 5%
次の200,000,000まで 15%
次の250,000,000まで 25%
次の500,000,000まで 30%
500,000,000を超えた分 35%

例:課税所得が400,000,000IDRの場合
 

課税所得(IDR 額面年収) 税率 所得税額(IDR)
合計 年間所得額 69,000,000IDR
最初の60,000,000 5% 3,000,000
(60,000,000 × 5%)
次の250,000,000まで 15% 28,500,000
(190,000,000 × 15%)
次の500,000,000まで 25% 37,500,000
(150,000,000 × 25%)

個人所得税に適用される所得控除

控除の種類 対象 年額(IDR)
基礎控除 納税者本人 54,000,000
配偶者 4,500,000
扶養家族(最高3人まで) 4,500,000
業務関連控除 最大6,000,000
社会保障費(BPJS)への従業員拠出金 全額

赴任者給与の海外口座向け支払分への課税

赴任者の日本などにある海外口座に給与の一部などが支払われる場合、スキームの違いによってインドネシア国内所得なのか海外所得なのかが違います。

法人のスキームによる所得の違い

所得税の源泉徴収と予定納税

給与や報酬に対しては源泉徴収制度があります。主な制度は次の3点です。

    1. PPh21

所属する事業所が給与から相当額を源泉徴収して納税する仕組み。

    1. PPh29

国外非課税所得など、年次確定申告の際に追納税が必要な所得に対する源泉税。前年度PPh29を納付した納税者は、翌年度から月次で予定納税を行う必要があります

  1. PPh25

PPh29を納付した納税者が翌年度から行う予定納税の事。これは「前年度の所得税総額から源泉徴収済みの納税分を差し引いた金額の12分の1を毎月納税する」としています。

個人所得税の申告と納税方法

個人は1暦年の「年間課税所得」や「支払済の源泉税」などを用いて所得税額の算定を行った上で、「確定申告」および納付手続きを行います。申告・納付期限は、翌年の3月31日です。この際、納税者番号(Nomor Pokok Wajib Pajak=NPWP)が必要となります。

確定申告では、個人の給与所得のほか、資産運用と売却で得た収入、海外での所得などを申告します。

この際税額の過不足の精算も合わせて行います。

近年、仮想通貨取引による所得がある方が増えております。仮想通貨取引おける利益は、利用されている取引所によって税計算が異なる場合がありますので、注意が必要です。

また昨今、税務署による個人資産の確認が行われるケースが増えております。昨年度申告と比較して保有資産額が大幅に増えた場合、特に本年度所得よりも資産が増えた場合には、申告の際に注意が必要です。

個人所得税と分離課税(ファイナルタックス

個人所得の一部はファイナルタックスが採用されているものもあります。銀行預金利息、一部取引業者における仮想通貨取引利益、JHT還付金などは源泉控除後の金額が振り込まれていることもあり、個人所得税の総合課税計算に取り込む必要はありません。

国税規程調和法施行に伴う改正

2021年10月29日付法令7号国税規程調和法とその下位規則が施行され、個人所得税に関わる部分も一部改正されています。新法においては、累進課税の税率(上記記載)で高額所得部分の累進所得税率35%の追加、納税番号とNIK(住民番号)の統一、現物給付課税の明確化などが改正されています。

現物給付

従来、従業員に対する「現物給付」会社において税務上の費用否認を行い法人税率を掛けることで個人所得に算入しないことが認められていました。しかし、国税規則調和法においては、従業員に対する現物給付も広く個人所得税として課税することが明記されています。

具体的には、会社で負担している駐在員アパート費用や私用利用の伴う車両費用、私用携帯電話費用、会社で加入する個人への保険などが該当します。会社は給与計算の中でこれらの費用を所得税計算に取り込んで計算する必要があります。なお、給与所得税に取り込まれた費用は、会社法人税計算時の税法上の費用として参入することが可能です。