インドネシア政府の財政出動は他国に比べ少ない――。スリ・ムルヤニ財務相はこのほど、こう語った。インドネシア政府は、新型コロナウイルスの感染拡大による医療・社会・経済への打撃に対処するため、景気刺激策として国内総生産(GDP)の2.5%に当たる436兆1000億ルピア(約263億6000万米ドル)を拠出する意向だ。しかし同財務相はこの金額は他国に比べて少ないとみている。
スリ財務相は6日、「ほかの国はこの保健医療の危機が金融危機へと転換するのを防ぐため、驚くような施策を講じている」と指摘。「オーストラリアはGDPの11%、シンガポールはGDPの10.9%をそれぞれ支出する」と説明した。
米国はさらに、GDPの10.5%に当たる2兆米ドルの供出を打ち出している。マレーシアは1000億リンギ(約230億米ドル)の拠出を計画しており、これはGDPの10%になる。
インドネシア政府はこれまでに、新型コロナウイルスの流行が拡大する中、被害を受けた部門を支援するため、保健医療、社会的セーフティーネット、企業の事業活動の回復プログラムに405兆1000億ルピアを拠出すると発表。さらに観光部門やぜい弱性の高い世帯向けに8兆5000億ルピア、製造部門に22兆5000億ルピアを振り向けると明らかにしている。
そんな中、スリ財務相はさらに「新型コロナウイルスの影響を最小限にとどめるため、インドネシア政府は財政・金融政策を実施することになる」と説明。
その一方、「状況が急速に展開しており、4月、5月は流行のピークになるとみられるなど、これは進行中のシナリオだ。そのため状況の変化に伴い、予測が変化する可能性がある」と述べている。