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インドネシア法人設立後に必要な手続き

法人設立が完了しても、実際に事業に取り組むにはさらなる手続きが必要です。
順序よく進めるようにしましょう。

各種許認可とOSS

「設立登記」と「会社登録」が完了した後、現地法人が事業を取り組むためには、関連省庁・地方行政区からの許認可が必要な場合があります。

2018年以降、投資庁(BKPM)はOSS(Online Single Submission)システムの運用を開始し、許認可取得の一元化を進めています。2021年以降は新バージョン(OSS-RBA:Online Single Submission Risk Based Approach)の運用も開始されています。

許認可取得の窓口を一元化して必要な許認可を明確にし、規制緩和を図る事を目的としています。OSS-RBAにおいては、オムニバス法と下位規則をシステムに反映し、事業リスクの小さい企業については、簡易な許認可のみで事業許可が発行される、スタートアップ企業の育成と、外国投資促進を図っています。

KBLIの改訂に伴い、設立済みの既存の会社であっても改訂前KBLIと現行のKBLIが異なる場合があり、その場合には登記調整が必要となるので注意が必要です。

他省庁システムとの連携

OSSにおいては、これまで縦割り行政区が原因で省庁間で情報共有されていなかった企業情報の連携が開始されています。

法務人化粧管轄であった登記事項、地方行政区管轄であった会社登録、税務総局管轄であった輸出入・税や、環境許可、建設許可、営業許可、外国人雇用計画書、政府管掌の社会保険など、他の省庁とOSSとの連携が開始されています。

現時点では完全な一元化は達成されていないものの、今後も会社に必要な申請・届出・登録関係は総じてOSSへ統一されていくことが予定されています。

VAT課税事業者としての登録

インドネシアには日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)があります。

VATは国内で、課税対象の物品やサービスの引き渡し、輸出入、権利移転などが行われた場合に課税されるものです。

VATは最終的に消費者が負担しますが、企業にその徴収と 納税義務が課せられているため、年間売上高48億ルピアを超える企業は税務署でVATの課税事業者として登録しなければいけません。

登録の結果「付加価値税登録番号(Pengusaha Kena Pajak=PKP)」が得られます。

なお、登録企業は、取引ごとに起票する税務伝票(Faktur Pajak)を集計して納税額を計算することになっています。

外国人も強制加入の社会保障制度(BPJS)

インドネシア政府は2004年以降、国民皆保険を目指して政府管掌の健康保険と労働社会保険制度を創設しました。その後、任意加入からの移行期間を経て2014年以降は、企業に勤める労働者には強制加入となりました。

2019年以降、新型コロナウィルスの感染拡大の影響から健康保険(BPJS Kesehatan)の加入率は80%を超えるなど、皆保険の認知度は高まっているほか、労働社会保険(BPJS Ketenagakerjaan)加入者を対象に、政府からの新型コロナウィルス給付金を支給するなど、政府は加入を促進を進めています。

一方で2022年度はBPJS Ketenagakerjaam(JHT:労働社会保険老齢保障)の積立還付についての度重なる法令改正に伴う混乱があったことや、病院の保険診療の取り扱いにおいてBPJS Kesehatan(健康保険)の使い勝手が悪いことなどが指摘されています。

BPJS保険は6か月以上就労する外国人(駐在員)においても、加入が強制されております。外国人の就労許可・VISAの延長を行うにあたって、BPJS保険の加入は義務となっており、未加入の外国人は就労許可を延長することが出来ません。

企業は従業員を強制保険へ加入させる義務を負っており、故意に加入させない場合や保険料未払い・遅延がある場合には行政指導や勧告、罰則の措置が取られる場合があります。

従業員の加入・退出の手続きは企業が行い、従業員には加入者番号が付与されます。従業員はアプリや最寄りのBPJS事務所で自身の加入状況等を確認することが出来ます(外国人はアプリ対象外の場合があります。)。

積立金(BPJS労働社会保険:老齢保障(JHT))の還付
外国人がBPJS労働社会保険の老齢保障として積み立てた掛け金は、帰任時にインドネシアで将来就労しないことを宣誓の上、還付申請をすることで積立金の還付を受けることが出来ます。還付にはインドネシア国内の本人名義の個人銀行口座が必要となります。

社会保障制度(BPJS)の種類と保険料


種別 各種保障(略称) 固定給に対する保険料率 外国人
加入義務
会社負担
従業員負担
社会労働保障 労災補償(JKK) 0.24~1.74%
死亡保障(JKM) 0.3%
老齢保障(JHT) 3.7% 2.0%
年金保障(JP) 2.0% 1.0%
※上限Rp.9,077,600
社会医療保障 健康保障(JK) 4.0% 1.0%
上限Rp.12,000,000

罰則規定もある「労働報告義務」(WAJIB LAPOR)

2017年11月に発行された労働大臣令により、マンパワーレポートのオンライン手続きについて定められました。

これにより管轄労働局まで足を運んで手続きしていた労働報告がオンラインで行えるようになりました。

労働報告は会社設立、会社登記変更(会社住所や会社名など)、支店設立などの登記完了後、30日以内に報告を行う必要があります。怠った場合には、1,000,000IDRの罰則などが課されます。労働報告は外国 人のVISA更新にも必須となります。

オンラインで行うための手続き

会社は下記の手順に従って会社アカウントを開設し、その後マンパワーレポートをオンラインで行います。

  1. インターネットから専用サイトにアクセスする。
  2. 申請メニュー「Daftar」を選択
  3. 利用者情報、ユーザーネーム、パ スワード、Eメールアドレスを入力
  4. 所定フォームに会社情報を入力
  5. 確認のためのリンクと申請暗号 が記載された応答メールを受信
  6. アカウント認証を行い、正式に 申請が完了