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インドネシア企業進出の基礎と投資規制分野(Bidang Usaha Penanaman Modal:BUPM)

インドネシアでは、外国企業が取り組めない制限分野が決められています。まず進出可能な事業なのか調査する必要があります。

外資規制を規制する法令

インドネシアにおいて外資が現地法人を設立する際には、出資が制限される事業があります。従前は、外資規制対象事業は「ネガティブリスト(Daftar Negatif Investasi =DNI)」として規制を受ける業種一覧が記載されていましたが、2020年11月のオムニバス法とその下位規則の施行により、外資規制が大きく変更されました。

従前、500種類以上の規制が外資規制対象となっていたものの80%以上が削除され、新たに「投資規制分野(Bidang Usaha Penanaman Modal:BUPM)」として外資規制対象事業が改定されています。上記に記載のない事業は100%外資出資が可能となり、法令上、インドネシアの外資規制は大きく緩和されました。

これにより、インドネシアへの新規進出だけでなく、これまで外資規制を理由に現地企業やパートナーとの合弁を余儀なくされていた企業が外資単独出資に変更するなど、外資企業の選択の幅が広がっています。

新外資規制

新法令では、投資禁止業種、投資優先業種、中小企業等にのみ許可される業種、条件付きで許可される業種、と記載が変更されています。

投資禁止業種は、麻薬の製造・販売、賭博・カジノ関係、化学兵器製造、一部国防関係事業などについては、投資自体が禁止されている。

投資優先業種は、国家戦略として優先度が高い事業、労働集約度の高い事業、ハイテク・イノベーション事業が指定されており、業種によっては投資後に税・その他で優遇を受けることが出来ます(例:電気自動車の製造等)。

中小企業等にのみ許可される業種においては、一般的な小売業などが規定されております。外資企業は全て大企業と規定されるため、外資会社においては、中小企業等のみに許可される業種を営業することが出来ません。

条件付きで許可される主な業種は下記の通りです。

事業業種 条件
新聞・雑誌の発行 設立時は内資100%。事業拡大においては49%までの外国出資が可能
国内海上貨物輸送 外資49%
伝統薬関係 内資100%

新法令によって外資規制が緩和された業種

事業業種 新規制 従前
スーパーマーケット
デパート
外資100%可能 外資禁止
ディストリビューター業 外資100%可能 外資67%まで
倉庫業 外資100%可能 外資67%まで
陸上貨物運送業 外資100%可能 外資49%まで
フレイトフォワーダー業 外資100%可能 外資67%まで
病院 外資100%可能 外資67%まで
製薬 外資100%可能 外資85%まで
広告業 外資100%可能 外資禁止

 

その他規制

外国資本の出資比率だけでなく、資本比率以外の規制にも注意が必要です。規制例はは下記の通りです。
外資企業の資本金:事業目的ごとに100億ルピアの払込資本金
フレイトフォワーディング業:外資企業の場合は400万USDの投資額と25%以上の払込資本金
アルコール飲料の製造・販売・提供:特別許認可の取得
一部ディストリビューター業・建設業:現地企業とのパートナーシップ契約締結義務
上記以外にも各分野の省庁令、政令、投資関連法令以外での規定されていることもあり事前に確認が必要です。

現地企業への出資・買収

新規に現地法人を設立するだけでなく、進出方法にはM&Aの手法で既存の現地法人に出資・買収する方法があります。

新規法人設立と異なり既に事業を行っている会社に出資を行う事から、迅速な事業開始が可能となる一方で、現地法人を引き継ぐことから債務、税などの責任も引き継ぐこととなるので、専門家による事前のDD(Due Diligence:投資先の価値・リスク評価)を行う事が推奨されます。

内資企業に対して新たに外資企業が出資する場合、その企業は外資企業となるので、外資規制法令の制限を受けることとなります。

駐在員事務所の種類 外国法人

駐在員事務所

外国商事

駐在員事務所

建設サービス

駐在員事務所

役 割 現地法人設立準備・ リサーチ・市場調査 現地取引先と本社間 の調整等 現地での建設事業の 実施
取り組み可能な業務 現地法人設立の為の 投資準備等 本社商品などの プロモーション等 現地企業と合弁での公 共事業プロジェクトへ の入札・契約・大規模イ ンフラ事業の実施
してはいけない 業務 収入・収益性のある業務、売上を伴う活動等 単独での建設事業・中 小規模の建設事業への 参加
その他の条件 オフィスビル内に会社所在地を構えなければならない。 商品の輸出入に関して、 外国商事駐在員事務所がプロモーションなどに 寄与した分として、みなし課税がされる場合があります。 建設事業許可の取得や各分野の専門家の雇用、公共事業省への年 次報告、許認可更新までに大規模事業への参加履歴などが必要となります。