インドネシア政府は3日、新型コロナウイルスの流行拡大やこれに伴う移動・活動制限による経済への打撃を緩和するため、計677兆2000億ルピア(約476億米ドル)を景気刺激策に振り向ける方針だと発表した。
インドネシアの国内総生産(GDP)伸び率は1998年のアジア金融危機の際の水準に悪化するとみられているため、積極的な財政出動により経済への打撃を抑えたい考えだ。
インドネシア政府はこれまでに、新型コロナウイルス関連の景気刺激策に641兆1700億ルピアを拠出する計画を打ち出していた。一方、今回明らかにされた金額は、当初予定を超えている。
拠出される資金は、消費活動を活発化させるために社会的な保障の強化に使われるほか、地場企業の倒産や解雇を防ぐためにも活用される見通しだ。
インドネシア政府は具体的に、保健医療部門に87兆5500億ルピア、社会的セーフティーネット・プログラムに203兆9000億ルピア、中小零細企業の支援に123兆4600億ルピアをそれぞれ充当する見通しだ。
また102兆6000億ルピアを税制優遇措置に、97兆1100億ルピアを省庁・地方政府の支援に、44兆5700億ルピアを国営企業と労働集約型産業の支援にそれぞれ振り向ける。
◆財政出動でマイナス成長阻止を=財務相
スリ・ムルヤニ財務相は今回、オンラインの記者会見で、「インドネシア政府は新型コロナウイルスによる景気低迷に対応するための施策を講じるとともに、景気刺策への財政出動を拡大するのに向け予算上のマクロ経済見通しの見直しを実施する」と説明した。
同相はさらに、「景気刺激策により、インドネシアのGDP伸び率がゼロ%を超える水準を確保することを期待している」と語る。
インドネシアの2020年第1四半期(1~3月)のGDP伸び率は前年同期比2.97%となり、過去19年間で最も低い水準となった。
スリ財務相は2020年通年のGDP伸び率については、政府目標の2.3%成長を下回るとみている。