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J2東京ヴェルディに完全移籍した国民的スター・アルハン選手インタビュー

インドネシア代表の左サイドバックとして活躍する国民的スター、プラタマ・アルハン・アリフ・リファイ選手(20歳)が、今シーズンよりJ2・東京ヴェルディに移籍することが発表され、今月17日に来日した。

インドネシアの若き才能であり、Instagramで300万人近くものフォロワー数を誇る人気選手の移籍情報の反響はインドネシア、日本両国共に大きかった。なかでも、東京ヴェルディの公式Instagramのフォロワー数は移籍発表直後に増え続けて10倍以上に達し、現在では46万人弱にまで膨れあがった。もちろん、新たなフォロワーの多くがインドネシアのサッカーファンで、今では日本国内スポーツチームの公式Instagramのフォロワー数としては最多となったという。これだけ見ても、インドネシアサッカーファンの期待の大きさが窺える。

そんなアルハン選手の記者会見が来日前の今月4日、中央ジャカルタにあるインドネシアサッカー協会(PSSI)にて行われた。

インドネシアサッカー期待の星

記者会見には、アルハン選手と共にモハマド・イリアワンPSSI会長やアルハン選手の所属クラブPSISスマランのヨヨク・スカウィCEO、在インドネシア日本大使館の広報文化部長・若林孝広氏らが同席。

会見のなかでイリアワンPSSI会長は「ご存知のように、日本サッカーのレベルはアジアのなかでは韓国などと並びトップレベルです。日本や韓国、あるいは欧州など、海外でプレーする選手が増えれば増えるほど我々の選手育成がうまくいっている証になります。また、アルハン選手のように多くの選手が海外でプレーすることで成長すれば、それがインドネシアサッカーの進歩にも繋がっていくことでしょう」と、アルハン選手のJリーグでの活躍に大きな期待を寄せている。

さらに、「この先も、アルハンのような選手が出てくることを期待しています。先日もU-19の練習を見ましたが、素晴らしい才能を持った選手がたくさん育ってきています。今後もJリーグをはじめ、海外からのオファーが増えていくと信じています」とも述べた。

一方、アルハン選手のさらなる成長を期待して、移籍金なしで東京ヴェルディに送り出すことを決めたPSISスマランのヨヨク・スカウィCEOは、アルハン選手の穴をどう埋めていくのかといった問いに「アルハンの穴を埋めるほどのクオリティがある選手はまだいません。しかし、アルハンの実績を追いかけることができるように多くの若手選手を育成していく覚悟はできていますし、それが私たちのクラブの方針でもあります。また、アルハン選手が若くしてトップリーグに出場して成長できたので、他の若い選手も敢えて出場させて経験を積ませることにより、メンタル面での成長も見てとれます。彼ら若手選手のなかから、第二のアルハンが出てくることを私たちは確信しています」と答え、さらに若手選手の育成に力を入れていく覚悟を示した。

このように、所属していたクラブのみならず、インドネシアサッカー界の期待を一身に背負ってのアルハン選手の東京ヴェルディ移籍となったが、アルハン選手はどう感じているのか、意気込みを聞いてみた。

来日直前のアルハン選手直撃インタビュー

こんなに熱く歓迎してもらえるなんて驚き

編集部
J2東京ヴェルディへの移籍とのことで、おめでとうございます。東京ヴェルディのサポーターの期待も高く、すでに応援歌であるアルハン選手のチャントも作られていて、YouTubeでも紹介されています。まずは、今の心境をお聞かせください。
アルハン選手
もちろん、すごく嬉しいです! まだ日本に行っていないのに、こんなに熱く歓迎してもらえるなんて、驚きしかないですね。本当に感謝しています。
編集部
東京ヴェルディへの移籍が決まってからのご家族の反応はどうでしたか?
アルハン選手
もちろん、喜んでくれましたが、遠い異国の地に行くことになるので寂しく思うところもあるようです。でも、僕は小さい頃から家族の元を離れて暮らしながらサッカーをしてきたので、お互い、離れて暮らすことには慣れていますから。とはいえ、いつか家族や故郷、母の料理が恋しくなることもあるかもしれませんね(笑)。
編集部
東京ヴェルディでは背番号は38だそうですが、38番になったのはどうしてですか?
アルハン選手
背番号で好きなのは11か12です。でも、この2つの背番号はすでに使われていたので、38にしました。個人的にはクラブが変わって新しい船出のなかで背負う38番をとても気に入っています。
記者会見では背番号38のユニフォームもお披露目

インドネシアサッカーの発展に貢献したい

編集部
日本では、すでにアルハン選手のプレー集がYouTubeで紹介されていて、左サイドバックとしてのポテンシャルの高さが知られるようになってきています。特に、鋭い左足のロングシュートやロングスローなどが注目されていますが、サッカー選手として、ここだけは負けないというストロングポイント、あるいは日本のサッカーファンにこういったところを見て欲しいというところがあればお教えください。
アルハン選手
自分のストロングポイントは、左ききであるということ。あとは、スピードを生かしたプレーと遠くまで投げるロングスローですね。そういったところに注目してもらいたいです。そして、なるべく早くチームに溶け込んでもっともっと成長し、これまで以上にいいプレーが見せられるよう努力していきたいと思っています。
編集部
インドネシアのスポーツと言えば、バドミントンが強く人気があるイメージです。しかし、それに匹敵するくらいサッカーも人気だと聞きますが、インドネシアのサッカーの現状はどういった感じでしょうか?
アルハン選手
インドネシアではサッカー人気は高く、徐々に発展してきています。今年の元旦に行われた東南アジア王者を決めるAFFスズキカップではインドネシア代表は決勝戦まで進みました。残念ながら、当時コンサドーレ札幌(現・川崎フロンターレ)で活躍していたチャナティップ選手擁するタイに敗れて準優勝で終わりましたが、私もチャナティップ選手のようにJリーグでプレーすることで成長し、インドネシアサッカーのさらなる発展に貢献していきたいと思っています。

そういったチャンスを与えてもらったことに感謝しつつ、僕のように海外でプレーするインドネシア人選手が増えることで、将来的にインドネシアサッカーがよりレベルアップしていくことを願っています。

移籍に関して両クラブに感謝している

編集部
セリエAのラツィオやKリーグ2の大田ハナシチズンも獲得に動いていたようだと報じられていますが、東京ヴェルディを選んだ理由は何でしょうか?
アルハン選手
もともと、最初に海外のクラブから声をかけてもらったのが東京ヴェルディだったというのが一番の理由ですね。東京ヴェルディの練習に参加するという話もあったのですが、コロナの影響で実現できずにいました。元々、海外でプレーしたいという気持ちが強かったのですが、Jリーグは素晴らしいリーグだと思いますし、日本という国にとても興味がありました。東京ヴェルディは日本のなかでも歴史ある名門クラブでもありますし、サッカー選手として成長するために色々と考えてくれています。しかも、同じ年代の若い選手が多く、共に成長していけるだろうと思いました。
編集部
今回の東京ヴェルディへの加入では、移籍金なしであると報じられていますが、本当でしょうか?
アルハン選手
はい、事実です。PSISスマランは僕のサッカー選手としての成長を何よりも優先して考えてくれています。東京ヴェルディも、僕の成長を真剣に考えてくれています。両クラブの思いが一致したからこそ、今回の移籍金なしでの完全移籍が実現しました。このことに関しては、本当に嬉しかったし、両クラブに感謝しています。

東京ヴェルディのJ1復帰に貢献するのが夢

編集部
東京ヴェルディに加入して、どういった夢を抱いていますか?
アルハン選手
東京ヴェルディは名門クラブではあるのですが、現在は日本の2部リーグであるJ2で戦っています。なので、まずはチームに溶け込んで、主力選手になれるように努力を重ね、クラブの悲願であるJ1復帰に貢献したいというのが夢です。そして、もっといい選手になって、インドネシア代表がより強くなれるように貢献したいと思っています。
夢を熱く語るアルハン選手
編集部
最後に、日本とインドネシアのサッカーファンに向けてメッセージをお願いします。
アルハン選手
決して諦めない不屈の精神で努力を続け、チームの規律を守り、責任感を持って行動し、成功を掴みたいと思っています。東京ヴェルディでベストを尽くしますので、より良い選手になれるよう応援よろしくお願いします!

次回は、東京ヴェルディ側にインタビューし、アルハン選手獲得に動いた経緯やアルハン選手に期待することなど、Jリーグが進めている東南アジア戦略も含めたお話を詳しくお聞きします。

アルハン選手プロフィール

本名/プラタマ・アルハン・アリフ・リファイ(20歳)

若干20歳ながら、インドネシア代表の不動のサイドバックとして活躍する国民的スター選手。Instagramのフォロワー数は300万人近くで、常にその動向が注目されている。国内ではPSISスマランに所属。2021年のトップリーグ開幕前に開催されたメンポラカップでシニアデビュー。4試合で2得点の活躍を見せ、ベストヤングプレーヤー賞受賞。各年代の代表にも選出され、2021年5月にフル代表デビュー。

2020年の東南アジア王者を決めるAFFスズキカップでは、マレーシア戦に続き、準決勝のシンガポール戦でも得点を挙げた。同大会では最優秀若手選手賞受賞と共にベストイレブンにも選出されたことで、海外からも注目されるようになった。

取材・文/國尾一樹 写真キャプション/編集部