インドネシアの配車サービスはGojek(ゴジェック)とGrab(グラブ)の巨大企業を中心に支配されてきたが、近年ロシアをルーツに持つ2つの配車サービス、inDrive(インドライブ)とMaxim(マキシム)が拡大をみせている。
インドライブは、ロシアの極寒の地ヤクーツクで2013年に誕生したオンラインタクシーサービス。気温が急激に下がった年にタクシー料金が急騰したことをきっかけに、学生たちがソーシャルメディアグループを開設し、学生が相互に乗車料金を交渉して決定する仕組みを構築した。
この乗車料金の交渉の仕組みは、本社をアメリカのシリコンバレーに構え世界47ヵ国に展開する規模になった今でも、コア機能としてアプリ上に備えている。中間者なしに、乗る人と乗せる人が相互に価格を合意するピアツーピアーのビジネスモデルは無駄が少なく、インドライブの大きな特徴である。
インドネシアには2019年8月に参入し、現在は50都市以上で展開している。50万人以上のドライバーが登録しており、そのほとんどがバイクドライバー。ゴジェックやグラブより無駄が少ない効率的な運営により、事業のための十分なキャッシュがサービスから生み出せているという。
一方、マキシムは2003年にロシアで設立し、現在は1000以上の都市で事業を展開している。インドネシアには2018年に参入し、国内100以上の都市に拡大を続けている。最大の特徴は「黄色」であること、とインドネシア子会社のヴァデムCEOは冗談交じりでコメントした。競合のゴジェックやグラブの緑のジャケットに交じり、マキシムの黄色のジャケットを見かけることが増えたのは確かだろう。
黄色である以外には、手軽な価格とシンプルさがマキシムの強みである。今後は配車以外のサービスへも展開を検討しており、目が離せない存在といえる。