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古着を楽しむ「スリフティング」が流行 国内製造業にもチャンス

中古品を購入する「スリフティング(thrifting)」というショッピングスタイルが、特にファッション業界を中心にトレンドとなっている。インドネシアでも昨年頃から急速に浸透し、若者を中心に関心が高まっている。

中央ジャカルタの伝統市場「パサール・スネン」を初めとする多くの古着ショップでは、日本や韓国などの高品質なブランド品を含む国内外のファッションアイテムが手頃な価格で手に入る。スリフティングの浸透を受けて、オンラインの古着ショップも急増した。また、インドネシアではもともとソーシャルメディアを通じた個人間取引も盛んで、古着を購入できる機会は多い。

一方で、実のところ政府は海外からの古着の輸入を禁止している。このことは輸出・輸入禁止品に関する商業大臣規定「2021年第18号」で定められており、ズルキフリ商業相によれば、古着に付く細菌などの衛生面の問題や、国内の繊維産業の保護を目的としている。

もちろん、古着の輸入禁止は、古着の販売や購入を否定しているわけではない。サンディアガ創造経済相は、スリフティングの流行と古着の輸入禁止を機会と捉え、国内企業に対して環境に配慮した素材を用い、持続可能な製造方法で、ユニークなデザインの長く使える製品を生み出すよう推奨している。具体的には、インディゴ等の天然染料の使用や、地元の労働者の活用が重要だと述べている。

インドネシアでは年間75万トンの繊維廃棄物が発生しているという、国立廃棄物処理情報システムからのデータがある。繊維廃棄物が国内産業から発生したものだとすると、スリフティングは環境にとってもプラスの影響がある。しかしながら、古着が過剰に安く提供され、まとめ買いが起こってしまうと、結局のところ今持っている服の廃棄に繋がりかねない。スリフティングが経済面、環境面に良い影響を与えるためには、消費者は必要な分だけ買うことを心がけることが大事なようだ。