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悲劇の引き金は警察による催涙ガス 裁判では無罪判決の矛盾

サッカーの試合後の暴動により135人が死亡し600人以上が負傷したサッカー史上最悪の事件で、過失致死傷罪に問われた2人の警察官幹部に無罪判決が下った。これまで、政府後援の事実調査チームである国家人権委員会が、大混乱による多くの人の死亡は「警察による催涙ガスの不当な使用が原因」と発表してきたものの、裁判ではその責任が問われることはなかった。

今回、東ジャワ地方裁判所から無罪判決が言い渡されたのは、部下に催涙ガスの発射を命じたとされるマラン警察のバンバン被告と、サッカーの試合での催涙ガス使用を禁止するFIFA(国際サッカー連盟)の規則を無視したとされるマラン警察のワヒュ被告。検察側はこの2人に対し懲役3年を求刑していたが、裁判長は、容疑が「立証されていない」として2人に無罪を言い渡し、釈放を認めた。

この事件では5人が逮捕、起訴されている。このほど無罪判決を受けた2人のマラン警察の警察官の他、東ジャワ州警察の機動旅団部隊の元司令官に懲役1年6カ月(求刑3年)、ホームチームであるアレマFC組織委員会の元会長に懲役1年6カ月(求刑6年8カ月)、元警備最高責任者に懲役1年(求刑6年8カ月)の有罪判決が下されている。

求刑よりもはるかに軽い判決、ましてや警察官2人に対しては無罪が言い渡されたことに対し、遺族は到底納得がいかない。それと同時に、被害者遺族数名の代理人を務める。イマム弁護士は「今回の判決は事件が操作されたものであることを照明した」と指摘した。さらには、あまりに矛盾が多いため、5人全員を無罪にした方がいいのかもしれないとまで語った。

また、ロンドンを拠点とする権利団体アムネスティ・インターナショナルは、今回の判決は、インドネシアにおける長年にわたる権力の乱用を浮き彫りにしたと声明を発表した。

なお、検察側は上訴する見通し。過剰な権力の被害者たちに正義を提供できる日は来るのだろうか。