インドネシアではクレジットカードの普及率が未だに低く、また銀行口座保有率も人口の5割程度に留まっている。その一方でデジタル化は急速に浸透し、EC(電子商取引)でのオンラインショッピングが広がるにつれ、既存銀行の金融サービスが行き届いていない中間層からの後払いサービス(BNPL)などのオンライン金融サービスのニーズが急増している。
このような環境下で、後払いサービスで国内トップシェアを誇る「Kredivo(クレディボ)」がこのほど、2億7000万米ドルを資金調達したと発表した。主導したのは日本のみずほ銀行で、同行も1億2500万ドルを出資した。
経済金融開発研究所(Indef)のイノベーション・デジタルエコノミーセンター長のナイルル氏は、米シリコンバレー銀行の破綻後に発表された今回の資金調達を「砂漠の真ん中のオアシス」と表現した。ナイルル氏は「今回の取引は、現在低迷しているインドネシアのデジタル産業への出資を促すことができる 」と述べ、さらに「みずほ銀行が資金調達ラウンドを主導したことも重要」と付け加えた。
クレディボは2016年にインドネシアで設立したフィンテック分野のスタートアップ企業で、今後さらに傘下のKrom銀行を通じてデジタルバンクを展開する計画である。テック系スタートアップによるデジタルバンク立ち上げは、過去2年ではジャゴ銀行へ出資するGoTo、ネオ・コマース銀行を傘下にもつAkulaku、Seabankの親会社であるSeaグループに次ぐものである。
なお、日本のメガバンクのひとつである三菱UFJ銀行も、昨年12月にAkulakuへ2億米ドル出資すると発表している。Akulakuは、クレディボと同じく後払いサービスを中心に展開するフィンテック企業で、日本のメガバンクによる東南アジア、インドネシアの金融ニーズの取り込み強化が続いている。