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通信事業者がeSIMサービスの展開を加速 将来的なリスクも

スマートフォンメーカーが組み込み型SIM(eSIM)に対応する端末を次々と発売する中で、国内の大手通信サービス会社もeSIMの提供を加速させている。

業界3番手のXLアクシアタは3月20日にeSIMサービスを新たに開始した。大規模なキャンペーンは行っていなかったにも関わらず、開始から4日間で1000件以上の契約を獲得し、この需要の大きさに担当者でさえ驚きをみせた。

XLアクシアタは、2019年のスマートフレン、2022年12月のインドサット・オーレドゥ・ハチソンに続き、eSIMサービスを開始した3番目の事業者である。大手通信事業者の中で唯一eSIMサービスを展開していないのが、業界最大手のテレコムセルであるが、同社は新技術の評価中であるとコメントしている。

eSIMは対応のスマートフォン内で複数の電話番号や料金プランを保持することができる。物理的なカードがないため、紛失や盗難のリスクは低い。もしスマホ自体が故障や盗難に遭った場合でも、クラウド上にデータが保存されているため、新しいスマホからアクセスできる。

顧客は通信事業者のウェブサイトを通してeSIMの電話番号を購入でき、その利便性も魅力のひとつである。また、通信事業者にとっても生産・流通コストの削減につながるため、短期的には収益にプラスの影響を与えるだろう。

世界的な調査会社であるFacts and Factorsによると、世界のeSIM市場は2021年に推定89億米ドルであったが、2028年には258億米ドルまで拡大するとみられている。ただし、eSIM非対応のスマートフォンが主流である限り、普及速度は遅い可能性もある。

一方で、eSIMの柔軟性がかえって通信事業者にとって諸刃の剣となるとも指摘されている。サービスの乗り換えが容易になることで、事業者間の競争が激化し、長期的には利益を圧迫させる可能性もあるという。