ビジネスを行うのに最適な国をランク付けした「ビジネス環境ランキング」の最新の調査で、インドネシアは政治とインフラの評価で低いスコアを獲得し、82ヵ国中58位となった。前回の調査から3ランク低下した。
英経済紙「エコノミスト」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が4月13日に発表したランキングによると、首位はシンガポールで、26位にマレーシア、33位にタイ、45位にベトナムが続き、インドネシアは近隣諸国を大きく下回る順位を記録した。
インドネシアは特に政治環境とインフラ開発において低いスコアを示した。EIUの国別マネージャーのロイ氏は、政治環境について、2024年にジョコ・ウィドド大統領の2期目が終了するまでは安定した政策が続くと予想されるものの、次期大統領候補としてジョコウィ大統領ほど政党や国民に人気のある者が見当たらないことから、その先の政治環境はさらに悪化するだろうとコメントした。
インフラ開発については、2023年から2027年までかけてインドネシアのインフラは著しく改善するとの見通しがあるものの、世界平均に大きく遅れを取っていると指摘した。大小多数の島々から成る地理的な条件と限られた財政資源が、インフラ開発の課題になっている。
一方で、2020年に制定された雇用創出法に基づく広範囲な構造改革は、見通し改善に一部寄与したものの、ランキングを押し上げる程の材料にはならなかったとみられる。評価された改革としては、企業税率の引き下げ、税務コンプライアンスの強化、労働市場の柔軟性の向上、インフラの質の向上などがあった。
近年、多国籍企業の間では中国以外にもう1カ所、アジアに投資を分散させる「チャイナ・プラス1」戦略がコロナ禍を経て再熱している。アジア諸国では投資を呼び込むためのビジネス環境の整備が不可欠で、その競争も激化している。