インドネシアでは数年前から、生まれて間もない赤ちゃんの姿を写真に残す「ニューボーンフォト」が流行している。
元はアメリカやヨーロッパにおける習慣だったニューボーンフォトの、インドネシアでの歴史は浅く、2010年頃に入ってきたと言われている。当初はセレブの代名詞のような存在であったが、10年代後半にかけて一般人にも広く楽しまれるようになった。昨今、新型コロナの状況が落ち着き、ますますニューボーンフォトのトレンドが強まっている。
ニューボーンフォトでは、赤ちゃんがお母さんの胎内にいたときと同じようなポーズで撮影が行われる。時期について明確な定義はないものの、インドネシアでは一般的に生後8日から3カ月の間に撮るものと考えられている。この時期の赤ちゃんは身体の柔軟性が高く、特に生後1カ月未満の場合はいろいろなポーズを取りやすく安全なのだという。日本では生後間もなくから遅くても28日位までと考えられることが多い。
また、日本では産院や自宅などへカメラマンが出張訪問し撮影を行うことが多いが、インドネシアでは専用のフォトスタジオに赤ちゃんを連れて来店するスタイルが一般的だ。そのため、あらゆるテーマに沿った様々な写真を撮ることができる。
国内有数の大都市である北スマトラ州のメダンにあるニューボーンフォトスタジオの「ベビー・ミラノ」では、日本、マーメイド、天使が人気のテーマだという。ここには赤ちゃん用の無菌室が完備されている。コロナ禍後は特に若い夫婦の利用者が多く、需要に応えるために新しい店舗を増やす計画だという。
また、ジャカルタに住むある女性ニューボーンフォトグラファーによると、ニューボーンフォトは一般の人々の間でも人気が高まっていることに加え、スキル習得に時間が必要なことから競合他社が少ないという。写真好きのインドネシア人は多く、新生児向けのサービスは有望なビジネスチャンスだと語っている。