インドネシアには多様な食文化がある。そのひとつブタウィの食文化は、中国、ヨーロッパ、アラビアの文化の影響を受けたダイナミックさが特徴だ。ブタウィ料理のひとつに、セレンダン・マヤンというデザートドリンクがある。サゴ粉が原料のカラフルなゼリーとたっぷりのココナッツミルクで作られる、甘く香り高いこのデザートドリンクは19世紀末に誕生し、現在でも市場やショッピングセンター、フードフェスティバルなどで手に入れることができる。
セレンダン・マヤンの歴史は、ブタウィの伝説に由来する。貧しい人々に富を分け与えるために盗みをはたらいたことで有名なブタウィの義賊シ・ジャンパンは、大きな目、整った鼻、長い巻き髪が美しいマヤンサリという女性に恋をした。シ・ジャンパンを虜にしたこの美しい女性からインスピレーションをうけてセレンダン・マヤンは生まれたと言われている。
ブタウィの部族として文化を保存するために10年前からセレンダン・マヤンを販売しているというアニさんは「イベントで出店していますが、1回のイベントにおいて50杯以上は売れ、100万Rp程度稼ぐことができます。フェスティバル等を通じて、多くの人がブタウィ料理を知り、興味を持ち、好きになってくれることを願っています」と話す。