5000人突破!ライフネシア公式LINE・登録はこちら

伝統芸術チレボン・バティックの歴史と柄に秘められた意味を知る

(c) kompasiana.com

チャンティンと呼ばれる器具を傾け、「ろう」を滴らせて点と線を描くろうけつ染「バティック」はインドネシアの豊かな文化を象徴する工芸品のひとつ。その語源は「滴る」という意味の言葉「menitik」に由来する。西ジャワ州チレボン市発祥の伝統芸術チレボン・バティックの歴史は15世紀、チレボン王国の全盛期にまで遡る。世代から世代へと受け継がれてきたチレボン・バティックの柄のひとつひとつには、それぞれ意味がある。

メガムンドゥン柄には7色のグラデーションがある。製造工程に男性の力が欠かせないこともあり、男性らしさやダイナミズムを象徴している。青色は、海辺で生活する人々の実直で大らかな心と、豊饒と命を与える広大な空の色を表している。シンガバロン柄は神話に登場する聖獣シンガバロンを描いたもの。パクシナガリマン柄はパクシ(ガルーダ)・ナーガ(龍)・リマン(象)の3つの動物の組み合わせからなる神聖な動物とチレボン宮殿の馬車を描いたもので、人と宇宙を統べ保護する古代王スルタンの役割を示している。

チレボン・バティックはステータスとアイデンティティの象徴であった。現代においてはフォーマルなイベントに限らず日常的に着用できるものへと変化しているが、柄に秘められた文化的意味と痕跡に想いを巡らせて楽しみたい。