植民地時代、体を温めるためにビールを飲むオランダ人の習慣にインスピレーションを得てジャカルタのベタウィ族が考案した「プレトックビール(Bir pletok)。おいしくて誰もが安心して飲めるブタウィの伝統的なノンアルコール飲料で、「ビール」といえど、麦芽を発酵させて作る普通のビールとは材料も製法も味も全く異なる。
プレトックビールの原料は、カルダモン、クローブ、ジンジャー、レモングラス、ジャワ唐辛子、シナモンなどのさまざまなスパイスと砂糖。独特の赤い色は、健康茶ウェダンウーにも使用される漢方薬、蘇方木から抽出される色素だ。「プレトック」の語源には諸説ある。ひとつは材料と氷を竹の容器に入れて混ぜるときの音からくるという説で、竹の容器で冷やすという独特な製法を強調していて信ぴょう性が高い。他にもボトルの栓を開ける際の「ポン」という音から派生したという説などがある。
ビールの味わいを再現したノンアルコールビールなどは、アルコール成分を含まないにもかかわらず、ハラームにつながるとしてハラール認定されていない。プレトックビールはベタウィの伝統ゆえに「ビール」という名前が付いているにもかかわらず、例外としてハラール飲料に分類されている。旧市街エリアのレストランや、ベタウィの土産物店などで探してみて。