カリマンタン島は、世界有数の生物多様性を誇る島だ。広大な熱帯雨林には、私たちがまだ知らない個性豊かな果実が数多く自生している。
ラフンやバンキナンといった果物は、地元の人々にとって古くから親しまれてきた存在だが、森林伐採の進行により、いまや希少な果実となりつつある。これらの果実を守ることは、自然環境だけでなく、先住民族の文化や知恵を未来へつなぐことにもつながっている。
まず紹介したいのが「カプル」。薄茶色の皮はマンゴスチンに似ており、甘酸っぱい味わいが特徴だ。ダヤック族の儀式では厄除けとして用いられ、体調を整える果物としても知られている。
次は「ラホン」。赤い皮と黄色い果肉を持ち、見た目はドリアンに近い。香りは強いものの甘さは控えめで、消化を助ける果実として親しまれてきた。
「ブリンビン・ダラー」は、“血のスターフルーツ”という別名を持つ果実。赤みを帯びた姿が印象的で、爽やかな酸味とともに、ビタミンや抗酸化成分を豊富に含んでいる。
最後に紹介するのは「ケラム」。黒紫色の実は一見石のようだが、加熱するとバターのような濃厚なコクが現れる、驚きの果実である。
カリマンタンの果実は、単なる“珍しいフルーツ”ではない。自然と文化が深く結びついた、まさに“生きた遺産”なのである。



















