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弔いを祝祭へと昇華 タナ・トラジャに息づく死生観

(c) detik.com

スラウェシ島の山岳地帯タナ・トラジャでは、葬儀は静かに故人を悼む場ではなく、盛大な祝祭として行われる。代表的な葬送儀礼が「ランブ・ソロ」だ。これは、故人の魂をプヤと呼ばれる来世へ送り出すための、人生最後の儀式であり、家族と共同体が総力を挙げて執り行う一大行事である。
トラジャの人々は、死を人生の終わりではなく、生命が循環する過程の一部と考える。そのため、遺体は葬儀の準備が整うまで自宅に安置され、数カ月から場合によっては数年に及ぶこともある。この間、故人は「ト・マクラ(病気の人)」として扱われ、家族の一員として共に生活する点が特徴だ。
ランブ・ソロの規模は、故人の社会的地位や家系の格式を示す重要な要素とされる。水牛や豚を伴って遺体を運ぶ「マパラオ」や、故人の生涯や功績を歌と踊りで表現する「マバドン」など、複数の儀礼が連日行われる。特に水牛は富と名誉の象徴であり、その数は家族の結束力や経済力を示す指標ともなる。
これらの儀式は、祖霊信仰「アルック・トドロ」に基づき、故人への敬意だけでなく、親族や村全体の相互扶助の精神を再確認する役割を担う。ランブ・ソロは、生と死、家族と社会の関係を深く考えさせる文化として、今もタナ・トラジャに息づいている。